幾度もオープンな蕎麦屋デートや同じマンション内での「合鍵同棲」「破局」「復縁」報道が繰り返され、'08年についに破局。その後、菅野は堺雅人と結婚する。
稲垣はといえば、近年は女性との浮いた話はほとんど耳にしない。中居によれば、
「吾郎は扱いにくい女の子みたい。酔わせて今夜なんとかしちゃおうって思っても、ちっとも態度が変わらない」(JUNON'97年11月号)
それでいて、なぜか“吾郎ちゃん”という愛称がよく似合う。クールでありながら、突き抜けた三枚目もてらいなく演じきり、話好きで天然でもある。SMAPの癒し系といえば草なぎ剛と思われるところだが、“剛ちゃん”ではなく“吾郎ちゃん”が定着したことは、稲垣の意外な立ち位置を物語っているのかもしれない。
'12年に出演したNHKのコント番組『サラリーマンNEO GOLD』の記者会見でSMAPにおける自らのポジションをこう分析している。
《たぶん僕はSMAPのメンバーでは中間管理職的な存在。間違いなくそういったポジション。上に気を使いながら下の面倒を見る。みんなにいじられながら、実は“僕は潤滑油になっているぞ”って自分で思っているんです》
SMAPを育てたI元マネージャーは、かつて稲垣をSMAPの“次男坊”と語っていた。そして、「SMAPはいいタレントだよね」と自ら屈託なく口にする稲垣を、「本当に手がかからないんです」と目を細めていたという。
近年は俳優としての評価が高い稲垣。きっかけは'10年に出演した三池崇史監督の映画『十三人の刺客』だ。“最凶の暴君”である松平斉韶役に抜擢され、顔色ひとつ変えずに女性や子どもをなぶり殺す狂気に満ちた悪役ぶりが絶賛され『第23回日刊スポーツ映画大賞』助演男優賞を受賞。三池監督も、「ことさら誇張しない。ものすごい自然ですよね。当人にしてみれば悪人ではないという感覚を彼はよくわかっている」と演技を絶賛した。
「一生懸命になってるところって人に見られたくない。内側は熱く激しくても、表面はいつも涼しげな人でいたい」
10代のころからそう語ってきた稲垣。25年間、独自の信念を持ち静かにSMAPの「次男坊」から「中間管理職」というポジションを築き上げてきた彼が、もうすぐそこを離れる。どんな場所を選び進んだとしても、変わらぬ“吾郎ちゃん”であってほしい。