物作りによる経済成長を目指す時代錯誤
日銀は今月、追加金融緩和を行う方針を打ち出しており、安倍首相も積極的な財政出動による景気へのテコ入れを明言している。
「追加金融緩和も財政出動も、やればやるほど企業への圧迫、家計への負担が増える一方です」
と郭教授。そうでなくても今秋以降、表のように、社会保障で負担の嵐が吹き荒れる恐れが高い。
あの手この手で打開を試みるも、行き詰まっている日本経済。その背景には、時代を読み違えている政府の認識不足があるという。
「国際ニュース通信社『ロイター』が日本企業400社に行った調査で、回答した企業の6割が安倍政権による金融緩和の拡大は経済を不安定にさせると回答。また、財政出動で公共事業に投資するよりも、ITや人口知能といった知識創造型産業への支援を拡大すべきだと指摘しています」
しかし、アベノミクスが目指すのは、いまだに物作りを中心とした経済成長だ。
「物が売れない成熟社会の日本なのに、自動車や大手ゼネコンを発展させれば豊かになるかもしれないと相変わらず錯覚している。経済でも、古きよき強かった日本を取り戻す。そんな時代錯誤な思いがあるのではないでしょうか」(郭教授)