認知症の“超早期発見”は延命につながらない

 認知症の“超早期発見”の研究が国内で相次いでスタート。認知症の根治治療につなげるのが狙いだとか。

認知症の根治治療薬は20年以上研究しても現れません。今後は、薬に期待するより、予防に努めるべきです。40~50代に認知症を発見したら、その後、数十年間、脳機能低下に怯えながら暮らさなくてはならないのです。

 認知症は、がんと違い、超早期発見が延命につながるものではないというのが私の考えです」

遺伝子検査が教える未来予想図

 がんや生活習慣病のリスクがわかると今、話題の遺伝子検査。では認知症は?

 国立長寿医療研究センターによれば、『アポE4多型遺伝子』という遺伝子を持つ家族に、認知症患者がいる傾向が高いそう。

「アポE4多型遺伝子は検査で有無を調べることができます。私のクリニックでも行っていますがオススメはしません。この遺伝子があることがわかっても、治療法が何もないからです。

 しかも、この遺伝子を持つ人は心筋梗塞のリスクも高く、長く生きられない傾向にあります。それでも検査をして知りたいですか?」

未来の認知症はワクチンで防げる!?

 近い将来、ワクチンで認知症が防げる日がやって来る!? アルツハイマー認知症の予防ワクチンの開発に成功した、と米と豪の共同研究チームが発表。

「以前から認知症予防ワクチンは研究されていたのですが、臨床試験中に問題があり、新薬として登場することはありませんでした。今回はその改良型のようですが、新薬開発の経過を見ていると、臨床応用は難しいのではないかと考えています。

 数十年先の新薬を期待するより、今からできる予防のほうが大切です」

<プロフィール>
◎白澤卓二先生/白澤抗加齢医学研究所所長。医学博士。アルツハイマー病とアンチエイジングのスペシャリスト。テレビ、ラジオなどマスコミで活躍。著書は『100歳までボケない101の方法』ほか、200冊以上