「奥さんが本当に大好きで、何でも奥さんが第一の人やった」

2人が暮らす自宅からは、仲よく会話する声が聞こえたという
2人が暮らす自宅からは、仲よく会話する声が聞こえたという
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 約30年前、引っ越してきたが、すでに2人の子どもは独立し、最初から2人暮らしだったという。

「ご主人は仏様のような人や」

 そう切り出したのは、近所に住む70代の男性だ。

「奥さんが本当に大好きで、何でも奥さんが第一の人やったね。奥さんはタバコを吸うんやけど、夜にタバコが切れると、旦那さんがよく買いに行ってはりましたわ。うちの家内には、爪の垢を煎じて飲ませてやりたい、とよく言われました。きっとご近所の女性はみな、“あんな旦那さんだったら”と思ってるくらいいい人なんです」

 そう話す男性の妻が、“がん”闘病のため、夫婦で自宅を長く留守にした際も、雑草を抜き、家の空気を入れ替えてくれていたという。

「たまに帰ってきても、いつもどおり住めるような状態になっていました。あれは本当にありがたかった」

 別の70代の近隣の男性は、悲しそうに話す。

「ご主人は人の役に立ちたいって気持ちが強かったけど、自分から出しゃばるような感じでもなかった。静かに、本当に静かに暮らす人やった。30年近くお付き合いしていますが、奥さんを殺すなんて考えられない」

 美佐子さんの評判もよく、

「明るく世話好きな感じでね。本も好きだったから文学少女みたいなところがあったんです。天真爛漫っていうのがぴったり」(前出・70代男性)

 ただ、10年前から精神疾患に悩むようになり、病弱な妻を献身的に気遣う容疑者が、家事、炊事をほぼ担当していたという。

「足が悪いみたいでね。食欲もないみたいで、何を食べさせたらいいかわからん」と田村容疑者が漏らすのを聞いた近所の住民もいた。

 2人で散歩をしたり、2人で近所のスーパーに買い物に行く姿がよく目撃されていた。

 スーパーで、美佐子さんが「これ食べたいんやけどな。でも家計があるから」と年金生活を心配すると容疑者は、「それくらい、いいじゃないか。ぎょうさん買うわけでもないし、あんただけ食べる分なら家計も問題ないやろ」

 そんなやりとりを、スーパーでよく一緒になったという近隣住民が覚えていた。