『シュシュトリアン』でスタントの魅力に目覚める
――あのとき石橋さんは15歳で。20年以上前ですが、現場のことは覚えてますか?
「覚えてますよ。私、ドラマのスタントマンさんに“かっこいいな”ってすごく憧れていて。その気持ちが強くなっていって、最終的にはスタントマンの方たちが所属している(大野)剣友会の道場が開く週一のレッスンに参加させてもらってました。補助つきでバク宙とかやらせてもらって、“最高だよ、スタント!”って思って。蹴りとか、必死で練習しました」
――シュシュトリアンの敵は――。
「妖怪ですね。物のときもありました。ジューサーとか、洗濯機とかと戦ってました」
――(笑)今考えると不思議なストーリーですよね。麿赤兒さんとか、有名な俳優さんも出られてて。
「豪華ですよね。吹越(満)さんがフライドチキン男役で出演されていて。吹越さんはここ7~8年、お仕事でご一緒していて。“私、吹越さんの奥さんやるんだあ~”って思って。すごく感動したんですよ」
――感慨深いですね。大人に囲まれた現場ですけど、すぐなじみましたか?
「そうですね。とにかく楽しくて、通うのが。水筒とお菓子持って、遠足みたいな感じで行ってました。学校ほとんど行ってないんですよ、あの頃。みんなにシュシュトリアンだってだんだん広まっちゃって、最後は体育の時間には、(校舎の)上の階から“シュシュトリアーン!” “変身してー!”とか言われて。いじられましたね(笑)」
――(笑)女優を続けていて辛かった時期はありましたか?
「シュシュトリアンは特撮だったので、やっぱり演技が少しオーバーなんですよね。18、19、20歳はウルトラマン3部作(『ウルトラマンティガ』『ダイナ』『ガイア』)に出て特撮がずっと続いていて。特撮ならではの演技の癖をそぎ落としていって、ナチュラルな演技をするっていう切り替えのときが一番壁にぶつかりました」
――どうやって克服しましたか?
「ひとり芝居みたいに勝手に電話してるとか、相手がいるとかシチュエーションを自分で決めて、せりふをぶつぶつ言う練習を続けました。ひとりエチュード(即興劇)みたいに。よっぽどショックだったんですよね。“演技がオーバー”とか“特撮癖が”とか言われるのが。20歳から始めて、克服するまで4年くらいかかったと思います」