がんは遺伝子の損傷によって発生しますが、細胞や傷つき方が異なると種類が違うがんになります。治療は、がんの種類によって変わります」

 肺がんは、“小細胞がん”と“非小細胞がん”に大きく分けられる。

「小細胞がんは、タチの悪いがんで進行が早く転移しやすい。肺がん全体の10%を占め、薬物治療を中心とした治療を行います」

 非小細胞がんは、さらに扁平上皮がん、腺がん、大細胞がんに分けられ、可能であれば手術を考慮する。

「肺は5つの肺葉と呼ばれる“ふくろ”に分かれています。肺葉はおおむね最大3つまで切除できます。ただ、高齢者や体力のない人は、肺葉の一部を切り取る縮小手術になります」

免疫チェックポイント阻害剤とは

 近年、画期的に変わったのは薬物療法だ。

「薬物療法には3つあります。元気な細胞も殺してしまう細胞障害性薬剤、いわゆる抗がん剤ですね。そして、がん細胞に特徴的な“変化”を攻撃する分子標的治療薬が'00年以降に登場しました。さらに'14年には、免疫チェックポイント阻害剤が登場しました」

 免疫チェックポイント阻害剤は、オプジーボといわれる、話題の高額治療薬。今年から肺がんのうち、非小細胞肺がんに保険適用されることになった。

「肺がんの原因で一番大きいのは喫煙です。肺がんになりたくなければ、タバコをやめるとともに、吸っている人の近くに行かないことです」

<この先生に聞きました>
田中文啓先生
産業医科大学医学部第2外科教授。専門は肺がんや胸部腫瘍(胸膜中皮腫を含む)などの呼吸器外科。遺伝子解析を含む最新技術を駆使し、手術を中心とした治療を行っている。メディア出演も多数。