「朝ドラの『まんてん』(02年)が女優として出させていただいた最初の作品なので、自分のスタートラインという意識は常にありますね。お芝居を始めたのは、母親に児童劇団に入れられて、気がついたら演技をしていたという感じなんですけど」

 14年ぶりに朝ドラの現場に戻ってきた谷村美月。演じている役は、『キアリス』の最年長で、お姉さん的な存在の明美。

「撮影に入って初めのころは、すみれちゃん(芳根京子)、良子ちゃん(百田夏菜子)、君枝ちゃん(土村芳)の3人と絡むシーンは、すごくイライラしていたんですよ(笑)。会話がぼんやりしているというか……。

 どうしてだろうと考えたときに、基本的に女学校時代の手芸倶楽部の延長でやっている3人と、あとから参加した明美さんとでは意識が違うのかな、って。そう考えたら割り切れるようになりました。これはあくまで、役としてのことですよ(笑)」

 正しいと思うことをズバッと口にする明美。谷村本人は、よくも悪くも彼女のようにはできない、と苦笑い。

「明美さんはベビーナースとしてみんなの見本でなくてはいけないし、英語のセリフも話さなければいけないし……。撮影前に乗り越えなくてはいけない壁が多すぎたかもしれません」

 そんなプレッシャーも、撮影が行われている大阪が自身の地元ということで、かなりやわらいだという。

「現場の雰囲気も『まんてん』のころの印象とまったく変わらないので、やりやすいですね。どういうわけか、関西にいるときのほうが、“なんでもやってやる”という精神が強くなるんですよ(笑)」