「欧米では夫婦の関係が横型であるのに対し、日本では縦型。男女平等といっても女性が男性に従うという形がまだまだ日本では主流です。“夫が家事をしないから離婚したい”といった主張は認められず、妻が夫や子どもの世話をするのが当たり前と考えられ、長い間、自分を犠牲にして我慢をしてきた女性も多いでしょう。妻にとって卒婚は“夫の世話からの自由”。一方で夫によっては卒婚を“性的自由”と考える人もいます。卒婚後の男女交際については、ルールを話し合っておいたほうがいいかもしれません。
年金や税金などのお金の面でも、離婚するより結婚していたほうが有利なのが日本。もう夫に愛情もなく、本当は離婚したいけれど、お金のために卒婚という形をとっている女性もいるのでしょう」(秋田弁護士)
実際にはさまざまな理由で
夫婦が尊重し合い、お互いに自立して好きなことをするというのは、理想の卒婚の形ですが、秋田弁護士の言うように、実際にはそんな美しい理由ばかりではありません。
山本さんの「女性ライフスクール」には、さまざまな相談が寄せられます。
「夫が離婚するのは世間体が悪いと考え、卒婚という形で別居するケースもあります。会社、親戚、友人などの手前、離婚というよりも卒婚というほうが波風が立たないわけです。また、DVやパワハラを繰り返す夫が離婚に応じてくれず、卒婚したいという相談もありました。離婚したいけれど、ひとりで生きていく力はないので、夫の経済力に頼りながら卒婚という人もいます」(山本さん)
実際、卒婚で二重所帯となるとお金がかかるので、経済的に余裕がある夫婦でないと実践が難しいのも事実。
前出の美容家の渡辺さんは、ずっと共働きで財布も別々、家計も折半だったといいます。
「女性も経済的に自立していないと、卒婚を進めにくいのではないでしょうか。40代になったら人生の後半戦をどう生きるか計画を立て、卒婚を希望するなら、ひとりで生活できる基盤を作っていくべきでしょう」(渡辺さん)
一方、お金がなくて卒婚できないという夫婦には、とっておきの秘策も!?
「なかには家庭内卒婚というご夫婦もいます。自宅の1階が夫、2階が妻というふうに分け、食事もそれぞれが自分で作って食べ、洗濯も別々。別居よりも顔を合わす頻度は高いですが、“夫の食事の支度をしなくていいし、ふたりで一緒にテレビを見なくてもいいし、自分の時間ができて十分満足”とおっしゃっています。いきなり卒婚というのはハードルが高くてという人も、家庭内卒婚からスタートしてみてはいかがでしょうか」(山本さん)