「すべては捜査官がASKAが排尿しているところを目視しなかったことが問題です。さらに関連証拠が一切出てこないこと。つまり起訴する証拠として使用できるのは尿だけなわけです。それをASKAがお茶を入れたという供述をしたこと、排尿したと確認しなかったことで、実際にそれがASKAの尿であるのかという疑念が出てきたのです」

 過去にも、尿は自分のものではないと話す被疑者はいたし、目視せずに採尿させたこともあったという。

 通常の手続きとして、自宅で採尿することはあるのか。高濱さんはこう話す。

「過去には密売所だったり、被疑者の自宅というのもあった。尿からの覚せい剤反応は使用から平均して10日程度で消えてしまう。酒井法子もシャブを抜くために逃げたと言われています。だから、その場で採尿することは特別問題はない」

 高濱さんはそう話し、さらに目視で確認できなかった点についても”捜査上の不備”といえるほどでもないという。その理由についてこう述べた。

「尿の目視を行っていなくとも、必ず関連証拠が出たため、起訴することができていた。関連証拠も、注射器、覚せい剤のついたパケ(小袋)、注射痕、血のついたティッシュなどがあるけれども、今回はそれがひとつも見つかっていない。この点が警察からしたら予想外だったのでは

 今回は関連証拠が何も見つかっていないレアなケースだと話した。

 つまりASKAを起訴したとしても、裁判でASKAが覚せい剤を使用したと証明する根拠が尿しかない。それすらも目視で確認していないため、ASKAのものであるとは断言できないのだ。そのことから、証拠として使用することが難しくなったのだという。

「通常であれば検察庁は土日休みですから、16日の金曜日には釈放されるかどうかわかっているはず。でも結局19日の夜に釈放された。つまり、検察庁も起訴するかどうかギリギリまで協議したんだと思いますよ。きっと土日も返上で検証していたのでは」

 と高濱さんは検察の動向に推察を加えた。