指原莉乃のすごい売り込み術

 自分を売るのがうまい芸能人と言えば、HKT48・指原莉乃をおいてほかにいません。

 AKB総選挙では史上初の二連覇を達成した指原は、名実ともに日本を代表するトップアイドルですが、自虐と非リア充を売りにしているという意味で、従来のアイドルとは異なっています。

 指原のすごい点は、“目的”がはっきりしていることです。『徳井と後藤と麗しのSHELLYと芳しの指原が今夜くらべてみました』(日本テレビ系)で、指原は繰り返し「自分にも手が届くと思わせたい」と発言していますが、これは幅広い層のファンを獲得したいという意味だと思います。

 総選挙二連覇の実績は偉業すぎて、ファンに「応援しがいがない」と敬遠される可能性があります。そこで、自虐や非リア充を売りにして、親しみを稼いでいるように私には見えます。つまり、自虐や非リア充は、“目的”を達成するための手段です。“目的”が定まれば、適切な手段は編み出せるといってもいいでしょう。

 加えて、指原は無駄に戦うことをしません。指原はブスを自称することがありますが、これは「カオで勝負するつもりはない」という意志表明だと私は思います。指原は『anan』(マガジンハウス)や写真集『スキャンダル中毒』(講談社)でくびれたボディを披露し、ファンを魅了しましたが、勝ちが見込めない分野で戦って“自信”をなくすより、違う良さに磨きをかけて勝負するほうが“メリット”になることをよく知っています。

 短所を認めつつ、自分を否定しないこの方法を、私は“指原メソッド”と呼んでいますが、これは長期戦が予想される婚活で、一番有効な手段ではないでしょうか。

 “受け身”な婚活をする女子は、「自分の魅力を男性に見つけてほしい」と願っているふしがあります。しかし、短時間で相手を判断しなければいけない婚活においては、自分の魅力は自分でアピールしなければ伝わりません。そのために、短所も含めてもっと自分を知りましょう。短所はやり方しだいで長所に変えられることを、指原が証明済みなのですから。

 次回は婚活の三要素、“適度な自信”、“メリット”、“タイミング”の“タイミング”についてお話しします。

<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。自身のブログ、Twitterで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。2016年8月に男性向け恋愛本『確実にモテる世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)を上梓。