自民党の目論見は憲法24条を壊すこと!?

女性や子どもにかかわる問題を数多く手がける打越さく良弁護士
女性や子どもにかかわる問題を数多く手がける打越さく良弁護士
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 自民党が'12年に発表した『憲法改正草案』にも通じる、とは打越弁護士。

家庭のなかでの男女平等や個人の尊厳を謳っているのが憲法24条。ところが支援法も自民党改憲草案も、個人ではなく家族を社会の基礎的な集団と位置づけている。

 ここでは、個人は家族より下に置かれます。いきなり憲法改正をするのは難しいから、支援法を作って実質的に改憲したのと変わらない状態にして、下準備する狙いがあるのでは」

 家庭教育に対する安倍首相のこだわりは人一倍だ。'06年の第一次安倍政権で、最初に手をつけたのが教育基本法の改正だった。

「愛国心や郷土愛が盛り込まれると同時に、保護者が子どもの教育に責任を負うとする条文も加えられました。国があるべき規範を押しつけ、家庭教育へ介入する動きはこのとき、すでに始まっていたのです

 支援法案は努力義務的な色合いが強く、特に罰則が設けられているわけではない。それでも打越弁護士は、「気づかない間に影響が出てくる」と懸念する。

ライフスタイルを自由に選ぶ女性はわがままと言われる社会になっていく。卵子が老化する前に結婚しろ、子どもを産め、国にとって役立つ子に育てよ。働け輝け、活躍しろ。でも保育園は期待するなよ、と

 国が取り戻したい形とは異なる家族、例えばシングルマザーや同性カップルへのプレッシャーも高まる。「LGBTの場合、当事者が自分のセクシャリティーに否定的な見方をせざるをえなくなるでしょうね」

 とはジャーナリストの渋井哲也さん。

「支援法案を推進する人たちは、基本的に権利意識が邪魔なわけです。それより規範を強化したいと思っている。自民党は『子ども・若者支援法』の改正も目論んでいますが、やはり道徳的な規範を強化する方向性。複数の法律が連動して息苦しさが高まり、無力感が国全体に蔓延するのを危惧しています」(渋井さん)