だが、SNSには《下の子が保育園落ちた。上の子が保育園からでていかないといけない》との書き込みも。
自治体によるが、第2子を保育園に預けることができずにしかたなく育休を延長すると、保育園に通っている第1子まで退園させられる場合も。
前出・普光院代表は、
「育休中はお母さんが家にいるから、保育園に預けなくてもいいでしょう、という話なのでしょうけど、保育園は預ける場所ではなく、教育を受ける場所なんです」
と、保育園=教育の場という認識がまるで欠けていると指摘する。
前出・山尾議員も、
「他の子どもたちに囲まれて、家ではできない教育をしてほしいという思いを持つお母さんはたくさんいます。保育は子守りではなく、就学前のかけがえのない教育の場なんだと社会で共有して理解していくことが重要ですよね」
自治体によって違う待機児童の数え方
『待機児童数ゼロ』という言葉に潜む“ごまかし感”も、母親たちの神経を逆なでする。自治体によって、待機児童の数え方が違っているのだ。
数年前、待機児童がゼロになったと市長が胸を張り会見していた横浜市と、待機児童全国ワーストワンの東京都世田谷区を比較すると、数字のとらえ方の違いがよくわかる。
子どもが入園できなかったため育休をやむなく延長した場合の児童、自宅でネットなどを使って求職活動をしている場合の児童を、横浜市は統計に含めず、世田谷区は含めている。どちらがより、実態に近いかは一目瞭然だ。
待機児童とは別に、『保留児童』という言葉がある。希望した保育園に入れなかった児童数で、2016年4月時点の横浜市の場合、待機児童数は7人、対する保留児童数は3117人だった。
「結局のところ、保護者が知りたがっているのは保留児童数です。厚生労働省は待機児童の定義を見直す作業に入っているようですが、待機児童をやめて、保留児童数に統一すればいいと私は思っています。横浜市の場合、内訳をしっかり開示しているだけまだ良心的。内訳を開示していない自治体もありますから」と前出・普光院代表が指摘する。
待機児童ゼロの街に引っ越したところ、潜在的な待機児童はゼロではなく入園できなかった、という悪い知らせは、山尾議員のもとにもたくさん届くという。