LINEのメッセージから読み取れること
ここに、勇樹くんの死後、彼を知る同級生が、友達にあてたLINEがある(下写真)。そこには、勇樹くんの担任の評判が記されている。
《好き嫌い激しくて、自殺した男の子のこと嫌ってて、手怪我してて字書けんのに居残りさせて課題やらせたり、その男の子だけにプリント配らせたり結構あたりつよかったみたいー》
担任による“強いあたり”は、まぎれもなく教え子を追い込む精神的体罰だ。受け止めなければならない被害生徒は、たまったものではない。
生前、勇樹くんが母親に「これを片づけてと担任に言われて片づけたら、なぜかめちゃくちゃ怒られた」、「係でもないのに、プリント配りを何度もさせられた」とこぼしていたことがあったという。
理不尽な担任のために、生徒が犠牲になる。さらに勇樹くんが担任への不信感を募らせたのは、昨年9月に行われた体育祭での出来事だった。
母親がいきさつを語る。
「体育祭の組み体操で、上に乗っていた勇樹が、バランスを崩し前のめりに手をつく感じで落ちたんです。帰宅して、“父ちゃん、骨折れとる”って。見ると両手の親指がパンパンに腫れて、紫色に変色していたんです。勇樹に聞くと“痛いんやって言ったけどスルーされた”と話していました。そればかりか骨折した手で後片づけもしたそうです」
驚いた母親は、担任にも電話で伝えた。これから病院に行くこと、その結果を後ほど電話で報告したい、と。
担任の返事は「忙しいので明日に」。そう言って、生徒の母親の報告を打ち切ったという。母親が続ける。
「病院に行くと、やはり組み体操でケガをしたようで、別のクラスの生徒、他の学校の生徒が来ていました。学校で応急処置をされたり、教師が付き添っている様子を目の当たりにした勇樹は、“ほかの人は先生と来るのに、俺は見捨てられとる”ってがっかりしていましたね」
両手の痛みの訴えを教師にスルーされれば、痛みは思春期の生徒の心に転移する。
“大人なんて本当にいやや”。ケガの後、勇樹くんは近所の住民にそう漏らしたことがある。生徒が痛みを訴えれば、耳を傾けるのが教師の姿。学校の説明によると、それを放棄した担任はその日、職場の飲み会に出席していたという(のちに本人は父親の見舞いに行ったと否定)。