安倍とトランプは“バカップル”か

 両首脳は接待ゴルフにとどまらない濃密な関係をみせた。ホワイトハウスに安倍首相を出迎えたトランプ氏は遠距離の恋人に再会したような熱いハグで出迎え、尋常ならざる距離まで顔を近づけてスマイル。写真撮影では19秒間握手した。ストップウォッチで計ればわかるが、もはやこの長さの握手は「握手」と呼ばない。電車内で手を握り合う“バカップル”と同じで見ているほうが恥ずかしくなる。

 しかし、トランプ氏は、「僕らはとても気が合うんだ」と上機嫌だった。

 ジャーナリストの大谷昭宏氏は「トップ同士が親交を深めるのは悪いことじゃありませんが」と前置きしつつ、その関係性に疑問を投げかける。

いつからの付き合いですか? 就任前の昨年11月に初対面しただけじゃないですか。それなのに19秒間も握手し、トランプ氏は安倍首相の手を包むようにポンポンと叩いた。簡単に言えば、世界でまともに口をきいてくれるのは安倍首相しかいないからですよ」(大谷氏)

 これまでトランプ氏は円安や対日貿易赤字にいちゃもんをつけ、在日米軍の駐留経費を「全額負担しろ」と言ってきた。しかし、そうした暴論はひとまず封印し、世界に仲のよさを印象づけた。安倍首相はそれに乗り、トランプ氏によるイスラム圏7か国の国民の入国禁止令について「米国の内政問題なのでコメントは控えたい」と口にチャック。

米メディアから“おべっか使い”などと評されました。国籍、民族、宗教、性別などで人を差別しないのは当たり前のことです。諸外国の首脳が“間違っている”と批判しているのに、それも言えず、友好だと言ってへつらう。番長に接近して、弱い者には居丈高に出るパシリと同じです。蔑みの対象にしかなりません」(前出の大谷氏)

 トップの言動によって日本はイメージダウンしたかもしれない。しかも、弱腰外交の代償はそれだけではすまなさそうだ。

「米国政治を支えているのは軍事産業です。活性化させるため、トランプ氏は日本にオスプレイを山ほど売りつけてきますよ。安倍首相はその意を酌んで先回りし、軍拡路線に走るでしょう。日本が貢げばトランプ氏は延命できる。そうでないと四面楚歌のトランプ氏はもたない」(大谷氏)

 前出の有馬氏は、

安倍首相がお土産に持参した金色のボールペンは3800円です。しかし、本当のお土産は、米国などへインフラ投資して約70万人の雇用を創出し、約51兆円の市場をつくるという約束です」と話す。

 無意味にニコニコ笑った代償は高くつきそうだ。