主婦はだれが休みにしてくれるの!?
苛立ちを隠さなかった人もいる。45歳の専業主婦はまくし立てるようにこう述べた。
「わが家には関係ありません。主婦はだれが休みにしてくれるんですか! 掃除や洗濯はだれがするんですか! 夫の会社は導入していませんけど、万が一、導入したとしても働けって言いたいですね」
食品関連企業の女性会社員(24)は「転職するつもりだからどうでもいい。次の会社は導入企業かどうかチェックしますよ」と、きっぱり。
そもそも日本経済を支える中小企業は全企業の99・7%を占める。大手企業など約1300社を束ねる経団連が主導し、官公庁が追随しても、中小企業が乗ってこない限り、国民的イベントに育てるのは難しい。
ましてや、すべての大企業が導入したわけではないから、対象者はきわめて限定的といえる。本当に消費活動は上向くのか。
時間がないからではなく、お金がない
中央大学の山田昌弘教授(家族社会学)は「消費が低迷しているのは時間がないからではなく、お金がないからなんです」として、次のように話す。
「プレミアムフライデーで消費しても、別の出費を削るだけです。サラリーマンのお小遣いはバブル期の半分の月4万円弱で、使える金額は決まっていますから。どうして、お金持ちの発想しかできないんでしょうか」
“花金(花の金曜日)”などは、遠い昔の話。解決するには企業の雇用努力が必要だという。
「労働時間を短縮したり、残業を減らしたら、企業はそのぶん人を雇わなければいけない。1人あたりの仕事の総量を減らさずプレミアムフライデーをやっても、ほかの曜日で残業時間が増えるだけじゃないですか。働きたい主婦や高齢者に門戸を開くなどワークシェアリングして、労働力を補わなければいけません」(山田教授)
高級な金曜日──。だれもが享受できるようにならなければ心から楽しむことはできない。いまのところ、安倍首相がエンジョイするところを見せつけられただけ?