不倫騒動のアノ人は何の教科書に?
「NHK朝ドラ『ゲゲゲの女房』のモデルとなった漫画家の水木しげるさんや、'15年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智さんの業績と人生を紹介しています」(前出・全国紙記者)
最近、不倫騒動のあったあの人は道徳の教科書ではなく、英語の教科書に。
「来年度のコミュニケーション英語IIに渡辺謙さんが載りますよ。'15年にニューヨークでミュージカル『王様と私』に主演し、アメリカ演劇界の最高の栄誉であるトニー賞にノミネートされたことが紹介されています」(前出・教育系出版社関係者)
教科書に取り上げられることが最も多いのがアーティスト。音楽の教科書にSMAPの『世界に一つだけの花』が載っているのは有名だが、それ以外の教科にも広がっている。
「SMAPは'13年の中学の英語の教科書にも載っていますよ。“日本の人気アイドル”として英文で紹介されています」(前出・教育系出版社関係者)
優れた歌詞が国語で取り上げられるケースも多い。
「SMAPに楽曲を提供したこともあるスガシカオさんは、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』の主題歌『Prоgress』の歌詞が、三省堂の中学2年生の国語の教科書に採用されています。三省堂は、中学1年生にゆずの『虹』、中学3年生にはアンジェラ・アキさんの『手紙』を詩として取り上げています」(教育誌関係者)
水木一郎は、歌ではなく生き方が採用の決め手に。
「'15年に小学校の道徳の副読本の題材に使われました。人気がふるわず一時は引退も考えた彼は、アニメソングと出会ったことで才能を開花させました。それが道徳の指導内容のひとつ『個性伸長』に合致するとして採用されたそうです」(音楽ライター)
背景には教育現場での変化が
大学の教科書には若者にとって身近な芸能人も。
「多くの大学の一般教養課程で使われる南雲堂の'17年度版英語『クールジャパン』では、きゃりーぱみゅぱみゅさんが英文で紹介されています。ほかにフィギュアスケートの羽生結弦選手や錦織圭選手、アナウンサーの滝川クリステルさんなども載っていますよ」(スポーツ紙記者)
昨今、芸能人が多く教科書に載るようになった背景には、教育現場での変化があると教育評論家の石川幸夫氏は指摘する。
「活字離れが進んでいて、子どもたちが文章に親しむようにすることが課題となっています。だから、著名人を取り上げて関心を引く傾向が強まってきたのでしょう」
ただ、それだけで学力向上が実現するわけではない。
「今の子どもたちはLINEなどの非常に短い文章しか読みません。複雑な文章を理解できていないというのが現実的な問題です。次のステップに進むためには、指導者の資質が問われます。道徳で著名人を取り上げるのもいいですが、ただ成功例を並べるだけでは学習内容を理解させることはできません」(石川氏)