【関東】珍名グランプリは千葉の”狼(おおかみ)”さん!?

■茨城──北関東の標準パターン

 茨城の1位は鈴木。そして佐藤、小林、渡辺と続く。

「北関東の標準的なパターンですね」

 県8位に根本、17位に、20位に野口がランクインするのが特徴で、いずれも珍しい名字ではないが、県で上位に入るのはレア。茨城独特の名字といえるのは、38位の倉持(くらもち)。さらに小松崎、飛田(とびた)、染谷(そめや)、菅谷(すがや)、寺門なども。珍しい名字としては結解(けっけ)、結束(けっそく)、青天目(なまため)などが。

■栃木──四十八願さんはココに

 県トップ3は鈴木、渡辺、斎藤。栃木らしい名字は県13位の手塚。ルーツは長野県上田市の地名で、木曽義仲の家臣・手塚太郎光盛の子孫という家も多い。そして15位に阿久津(あくつ)

「北関東では窪地のことを“あくつ”といいます」

 圧倒的に阿久津と書く家が多いが、中には堆、圷と書く家も。増淵、神山、室井(むろい)、薄井、君島なども栃木らしい名字だそう。さらに、難読性の高さで有名な四十八願(よいなら)も。

■群馬──茂木がい~っぱい

 県1位の名字は高橋。県4位に新井が入っているのは独特。そして、群馬を代表する名字は茂木。“もてぎ”と読む茂木が39位、“もぎ”と読む茂木が49位と県内トップ50に両方入っている。さらに、木暮(こぐれ)、塚越(つかごし)、生方(うぶかた)、真下(ましも)、羽鳥なども群馬独特の名字。

八月一日(ほずみ)は、旧暦の8月1日に稲の穂を摘んだことに由来しています」

 さらに珍しい名字に七五三木(しめぎ)、女屋(おなや)、千明(ちぎら)など。

■埼玉──南は東京、北は群馬

 県のランキングは鈴木、高橋、佐藤の順。東京のベッドタウンとして人口が急増した埼玉は、ランキング上位に特徴的な名字はない。県トップ50の中では新井、関根、栗原、関口、福島などが特徴的。また、浅見は埼玉独特の名字。

「さいたま市には左衛門三郎(さえもんざぶろう)という漢字5文字の最長名字があります。珍しい名字には歩行田(かちた)、食堂(じきどう)、舎利弗(とどろき)、年代(ねんだい)なども」

■千葉──千葉は千葉から全国へ

 千葉のトップ50にも特徴的な名字は見られない。

「千葉らしい名字は、県72位の加瀬。全国の6割が千葉在住です」

 さらに宮内、鶴岡、椎名、石毛、越川、香取なども特徴的。絶対ハズせない名字は、県名でもある千葉

「都道府県と同じ名字は、その県がルーツとは限らないんですが、千葉は千葉市から全国に広がりました」

 珍しい名字には生城山(ふきの)、狼(おおかみ)、花壇(かだん)、霊園(れいえん)、老後(ろうご)など。

■東京──23区は鈴木、都下は佐藤

 東京では、佐藤を抑えて鈴木が1位。都内の分布をみると、23区では鈴木が多く、八王子市や町田市などの市部では佐藤が多い。

「もともと江戸とその周辺は鈴木が多かったものの、戦後、地方から人が流入したことで、佐藤率が高まったと考えられます」

 東京ならではの名字としては相原、大井、品川、立川、豊島、目黒、牛込など。また原島は、東京最西端の奥多摩町に集中している。

■神奈川──石渡の7人に1人が横須賀

 神奈川のトップ5は鈴木、佐藤、高橋、渡辺、小林。実は、東京とまったく同じ並びなのだ。

「県トップ50までに、神奈川らしい名字は見当たりません。県55位の小泉は東京では100位以下です」

 神奈川独特の名字としては石渡。“いしわた”“いしわたり”と読み、全国の石渡の7人に1人は横須賀市在住。珍しい名字には一寸木(ますき)、梅干野(ほやの)、若命(わかめ)など。