なにせ今大人気の「ギンザシックス(GINZA SIX)」を設計した人たちが、「銀座のライバルはドバイだ」、などと堂々と言っちゃうくらいですからね。銀座をドバイのようにして、どうするつもりなのか。
銀座という日本では数少ない商業カルチャーの伝統が残っている街をドバイに……もう、これは頭が悪いとしか思えない。銀座は銀座、であり続けてほしいと思う(ちなみにギンザシックスには銀座ゆかりの老舗は入っていない)とパリにいるとつくづく思うわけですね。
そして働き方改革についても、言いたくなることが出てきます。
ここにいるといつも考えさせられるんですが、平日にもかかわらず、みんな昼間からばんばん酒飲んでます。これでも昔より飲まなくなった、と言ってますから、「昔はどんだけ飲んだんだよ」と思いますね。
「あんた、バカじゃないの!」と一喝されたワケ
今ランチをしているわれわれの隣の席で飯食ってワインをのんでいる女性2人組はなんと某フランス大手の銀行員!!(日本でいうと三菱東京UFJ銀行のOLが昼から酒飲んでる感じ……)。
あんまり楽しそうなので、「仕事は楽しいですか?」と聞いたら「あんた、バカじゃないの、仕事が楽しいわけないでしょ!こうして昼から友人と食事をするのが楽しいから、嫌な会社に毎日来てるの!」と一喝されました。おっしゃるとおり……。
多分日本だと、「昼からOLの分際で酒なんか飲みやがってとんでもねー」とかいう話になるんでしょうが、人生を楽しむことを最大の目標とするフランス人にとって、これは当たり前の光景であります。
一緒にいる私の友人も決して給料が高い、という職種にいるわけではありませんが、1年間思い切り節約しておカネを貯めて、1年に一度の海外旅行に家族で行くことを楽しみにしています。生活を楽しむために仕事をする、という意識が徹底していますね。
日本では、仕事は苦しんで当たり前で、額に汗をして働く、という表現がありますが、これだけイノベーションが進んだ現在、むしろ額に汗なんてかいている場合ではなく、どれだけ楽に働くか、が課題になってきているのではないでしょうかね。
昼から酒飲もうぜ、と推奨する気はありませんが、日本人ももう少し人生楽しく暮らすことを考えたほうがそろそろ良いのではないか、と当地では常々思うわけであります。
フランスだって、GDPは日本の約半分ですが、だからと言って国が潰れるわけでもありませんし、いろいろ批判はありますが、それで十分豊かにやっていける。多少収入が下がったって、どっちの生活がいいかはもう答えが出ているのではないでしょうか。
「人生を支えるための仕事」という考え方ができるか
働き方改革は結局、国民の皆さまの意識にかかっている。昼から酒飲みやがってとか、散々有給をとって、休みやがって、という批判をやめることからスタートする必要があります。国ができるのは、あくまでそれを支えるための制度を作ることであって、たとえば保育所の増設という問題であったり、学費を無償化する、などという方策で、そういう生活を後押しすること以外にありません。