青山学院大学を受験したロンドンブーツ1号2号の田村淳。東京大学を受験したオードリー・春日俊彰。
淳は不合格。春日はセンター試験で合格点に達することができずに“足切り”。二人とも残念な結果となったが、果たして本当に“残念”と言えるのかどうか。
そもそもなぜ、お笑い芸人が大学を受験するのか?
「はっきり言って“ネタ”です。昔の芸能人の中には学歴コンプレックスのある人がいて、芸能界で成功した後に大学に通った人もいました。
今は昔ほど学歴が重要視される時代じゃないですし、もともとお笑い芸人や芸能人に大卒の資格は必要じゃないですからね」(芸能プロ関係者)
“ネタ”であるからには、それを披露する場が必要となる。ということで、“お笑い芸人の大学受験”は同時にテレビ番組の“企画”となるわけだ。
この企画は、何年かに1度現れる。
「最初は'82年の島田紳助の東大受験です。受験当日、会場にマスコミや受験反対を訴える人たちが殺到して大騒動になり、結局彼は受験しませんでした。
その後は、浅草キッドの水道橋博士やなべやかん、坂本ちゃん、ナインティナイン・岡村隆史などが受験しています。すべて番組の企画でした」(テレビ局関係者)
こんな企画がなぜ持ち上がるのかというと、
「今は大卒のお笑い芸人も多いですが、知的なイメージがなかった彼らが“合格したらすごいな”という視聴者の期待もあって、たしかに受けました」(前出・テレビ局関係者)
しかし、大学受験というのは、一般の受験者にとっては人生を左右する一大事。かつては“受験戦争”とまで言われた時代もあった。ネタや面白半分の企画でやられてはたまらない。
「受験生に失礼だ」と非難の声があがるのも当然のことだが、
「それも含めて話題になればいいと考えていました。今でいう炎上商法ですね」(前出・テレビ局関係者)
しかし、今は非難の声さえ上がらないのが現状だ。
「ネタとしても企画としても、飽きられていますし、面白いとは思わないです。それは、合格しないからですよ。
彼らが、“1日何時間も勉強している”と言っても死に物狂いで真剣にやっているように見えないし、大学に入って何か専門知識を習得して学位を取ろうということではなく、ただ受験するだけですからね。仮に合格してもちゃんと卒業しないなら、何の意味もないです。視聴者が見向きもしなくなるのは当たり前です。」(放送作家)
よほどの秀才でないかぎり、学業から離れた者が少し勉強したくらいで、一流と言われる大学にそう簡単に合格できるとは思えない。
それでも、
「この企画はタレント頼みで、制作費もそんなにかからない。制作サイドにとっては楽な企画なんです。さらに、お笑い芸人としても、話題性がなくなったときに手っ取り早く注目の集められるんです。まあ何年かに1度くらいですから、なくならないでしょうね」(テレビ制作会社スタッフ)
東大とは言わないが、そろそろ合格者の出現をのぞみたい。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。