木村拓哉が“ソロ歌手”デビューするという。

 9月29日に自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組で、'20年1月にオリジナルアルバム『Go with the Flow』がリリースされると発表された。

 同アルバムは、B'z・稲葉浩志、森山直太朗、槇原敬之、いきものがかり・水野良樹という、錚々(そうそう)たる顔ぶれのアーティストたちが楽曲を提供する超豪華盤だ。

 すでに楽曲は完成しており、現在はプロモーションビデオの撮影が進んでいるという。

 意外なことに木村はこれまでソロで歌手デビューしたことは1度もなかった。だが、マスコミの中ではSMAPが解散した後から、俳優1本だけでなく、歌手としても活動するのではないかという噂が出ていたのは確かだ。

 SMAP解散直後は“裏切り者”と呼ばれるなどして大バッシングを浴びた木村。イメージダウンを避けることはできず、離れていったファンもいたというが、解散騒動も完全に沈静化したかに見える今、徐々に人気も回復しているようだ。

歌手デビューは一種の“賭け”である

 今期の月9『グランドメゾン東京』(TBS系)が間もなくスタートするし、'20年の新春にはフジテレビ開局60周年特別企画として2夜連続のスペシャルドラマ『教場』が放送される。さらに'18年に放送された『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)の続編も予定されているというから、“俳優業”の方は順調と言っていいだろう。

 ならば、この先俳優業1本で行けばいいと思われるのだが──。

 今回のアルバムは木村がパーソナリティーを務めるラジオ番組にゲスト出演したアーティストの後押しや、リスナー、ファンの強い希望があって実現したところがあったという。SMAP時代はもちろん主軸は音楽だったわけだから、彼自身も歌うことに関してはやぶさかではないはずだ。

「それでいうと今回のアルバムは楽しみですね。名だたる腕利きのアーティストたちが全力投球で楽曲制作に取り組んでいると聞きました。木村さん本人とも緊密に打ち合わせを繰り返しているみたいです。なにせ“あの木村拓哉”のデビュー作ですからね」(音楽誌ライター)

 だが、それは同時に、彼にとって大きなプレッシャーともなる。これまで「主演ドラマ(映画)が大コケ」なんて批判を食らったこともあったが、ドラマや映画の場合は「脚本」「上映規模」「作品テーマ」「題材選び」など、さまざまな要素が絡み合っているので、一概に“キムタクの責任”とは言えない部分があった。

 しかし、アーティストの成功はまた違った基準で測られる。

音楽の最大のヒット要因といえば、やはり曲と歌い手、このふたつ。今回、曲作りを手がけるのは超一流のヒットメーカーたちなので、あとは“歌い手”にかかっている部分が非常に大きい。なので、今回は稲葉さんの声がけやファンたっての希望で実現したかたちですが、木村さんにかかるプレッシャーは想像以上に大きいのではないでしょうか。

 アルバムの売り上げの数字が、それが木村さんの人気を如実にあらわしてしまうわけですから。今さら危険を冒す必要もないだろうと言う声があるのも事実です」(芸能プロ関係者)

 ソロ活動の開始は木村の今後を占う“試金石”だと報じている雑誌もあったが、これは“試金石”以上に大きな“賭け”だろう。

 46歳の初挑戦は吉と出るか、それとも――。

<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌などで取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。