「中国で新型コロナウイルスに感染した方のデータが2月に発表されましたが、狭心症や心筋梗塞など心臓に持病のある人の致死率が最も高いことがわかりました。その後には糖尿病、ぜんそく、タバコによる肺気腫など呼吸器系の疾患、がん、肝臓や腎臓に病気を抱える人が続きました」
感染症に詳しい宮城・仙台在宅支援たいようクリニックの星野智祥院長は、持病と発症者の関係に着目する。
花粉症の人はリスクが高い
南極大陸以外の世界中にウイルスが散らばり、WHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム事務局長が2月末、「パンデミック(世界的大流行)の可能性がある」と指摘した新型コロナウイルスの猛威。
「ウイルスによる感染症で亡くなる方、感染によりもともとの持病に負荷がかかり、病状が悪化して亡くなる方、2つのタイプがある」
と前出・星野院長。
重症になる要因のひとつと考えられるのが持病だ。疾病によっては高齢者だけでなく年齢問わず悪化する危険性があり、特に呼吸器系に持病を抱える人は要注意で、
「正常な肺ならば免疫細胞が集まっていますが、肺機能が低下しているところに感染が起きたら重篤化するおそれもある」(前出・星野院長)
東京アレルギー・呼吸器疾患研究所の渡邉直人副所長も、呼吸器疾患について、
「呼吸器が悪ければ、たちまち呼吸器不全になってしまって、人工呼吸器をつけるなど重症化する可能性は高い」
と指摘したうえで、
「特にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、間質性肺炎、肺がんの方はリスクが高まる。間質性肺炎などでステロイドを使用している方、免疫が落ちる抗がん剤治療の方も、感染を起こしやすく、感染すると肺炎のリスクが高く呼吸器不全になる可能性は高いです」
これから日本列島を覆う花粉症の季節も気がかりだ。
「花粉症の人が一概に免疫力が下がるともいえません。ただウイルスは粘膜から入り込むので鼻腔が炎症を起こす花粉症やアレルギー性鼻炎の人はリスクが高いかもしれません」(前出・渡邉副所長)
東京・中野区の耳鼻咽喉科専門「新井五行堂医院」の新井寧子医師も、
「中耳炎も蓄膿症もぜんそくも免疫力が弱いので、新型コロナに感染しやすいし、重篤化しやすいといえるでしょう」
と耳鼻科の持病を注視する。