「ヤバい女になりたくない」そうおっしゃるあなた。ライターの仁科友里さんによれば、すべてのオンナはヤバいもの。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、仁科さんがさまざまなタイプの「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」を分析していきます。

 

第39回 みちょぱ

 芸能人の仕事を「自分の顔と名前を売るために、1分1秒でもテレビに映り、イメージを上げる仕事」だと仮定してみましょう。

 もし番組で「ある芸能人を褒める企画」をしてもらえば、褒められる側はもちろん、褒める人にもプラスがあると言えるでしょう。褒めることでテレビに長く映れるわけですし、他人を褒めることで、「いい人」として、好感度が上がるからです。

 しかし、4月2日放送の『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「みちょぱスゴイぞ芸人」回は、誰もトクをしない企画だったと言えるのではないでしょうか。特に痛手を負ったのは、トクするはずの、みちょぱだった気がするのです。

「ホステス」発言からずれていった評価軸

「バラエティーにおける、みちょぱのスゴさ」を解説するために、かまいたちを中心に人気芸人が集まります。

 出演者のみちょぱ評を挙げてみましょう。

「玄人から見てわかるうまさ」「同じ言葉を2回使わない、上を行く言葉を選ぶ」(陣内智則)
「ワイプも怠けず、しっかりやる」(かまいたち・山内健司)
「相づち手助け名人」(ずん・飯尾和樹)
「ノリがちょうどいい」(オアシズ・大久保佳代子)

 つまり、常に気を抜くことがなく、前に出すぎることもなく、タイミングが来たら、番組の流れに適した言葉を放つことができることが評価されていると言えるでしょう。

 しかし、ここからだんだんと評価の軸が、違う方向にずれていきます。

「ジジイを転がしている感を見せずに、アシストができる、あれができるって最高級のホステスですよ」(大久保)
「オジサンは話聞いてくれて、自分に興味を持ってくれるのが嬉しいわけじゃないですか」(飯尾)

 みちょぱはオジサンたちに毒舌をはくこともありますが、それが許されるのは、オジサンたちと信頼関係があるから。大久保サンは、そのつかず離れずの距離感を、接客のプロにたとえたのだと思いますが、“ホステス”という言葉を使ったことで、ちょっと流れが変わっていった気がするのです。