主演オファーが引きも切らない人気俳優だが、自身を主人公にあて書きされた小説の映画化では、意外な本音を吐露。週刊女性特写4年ぶり登場の大泉を直撃!
挫折あっての“今”
「小説は僕にあて書きしているんだから、映像化にあたっては、これほど役作りのいらない役はないはずだって言っていたけど結果、今まででいちばん難しい役になってしまいました」
主演映画『騙し絵の牙』(3月26日公開)は、原作者の塩田武士さんが俳優・大泉洋を主人公にあて書きしたことでも注目を集めたベストセラー小説を映像化した。
大手出版社を舞台に、創業一族と次期社長をめぐる権力争いのなかで、廃刊危機の窮地に立たされた雑誌編集長の笑顔の裏に隠された“牙”が浮かび上がっていく。
「今回の小説もそうですが、三谷幸喜さんも(僕に)あて書きをされる方で必ず二面性がある。三谷さんは裏でとんでもなく悪いことをしている人間に描かれるわけですが(僕自身は)決してそういう人間ではありません(笑)」
あえて自身の二面性をあげるとすれば?
「単純に暗いですね(笑)。ポジティブなところもあるけど、ネガティブな面もあるなぁ。紅白の司会のお話をいただいたときも“やったー”ではなく“マジか”と僕にできるかなと、悩みました」
軽妙で話し上手な明るいキャラクターのパブリックイメージとは対照的。
「ネガティブとポジティブが共存しているんです。2年浪人して希望した大学に行けなかったことは唯一の挫折。僕にとっては最低な出来事だけど、それがなかったら俳優の仕事は絶対できていないし、TEAM NACSにも出会ってなかった。
そう思うとすべてをポジティブに考えられる。何があっても僕にとって絶対必要なことだと思える。ただ細かいことにネガティブになっちゃう。いろんな仕事をいただけてありがたいと思うけど、主役は結果を背負う部分もあって不安にもなりますね」
演じる雑誌編集長の速水は“できる男”だ。
「切れ者ですごく仕事もできて、部下への対処の仕方もカッコいい。うれしくもあり、僕自身はこんなにカッコよくないわと思いながら読んでいました」
映画『桐島、部活やめるってよ』『紙の月』『美しい星』などを手がけた吉田大八監督と初めてタッグを組んだ。
「吉田監督からは“今のは大泉さんぽかった”と、何回もNGを出されまして。“僕をイメージして書いている小説の映画化なんだから、僕っぽくて何がいけないんだ!”と、監督に言って現場でウケてました(笑)。
でも監督が、僕の素が出る芝居を採用しなかったことで映画を見たときに、今までの作品で、いちばん僕らしくない役になったと思います。
監督から速水は“飄々としてつかみどころがない。何を考えているかわからない人”とずっと言われ、感情を抑える芝居を求められました。1回でOKが出ることはめったになく、最低3回はやりましたが、ワンカットワンカットに達成感があり充実していました」