「世界一有名な局にします」
7月1日付でネットワーク局へ異動したフジテレビ元アナウンサーの久代萌美。異動が報じられた日、SNSのストーリー機能で冒頭のような投稿をし、話題を集めた。
「今回、久代さんを含めて6人のアナウンサーが他部署へと異動することになりました。ここまで大胆な人事は記憶にないですね」(フジテレビ関係者)
スポーツ実況に定評のあった小穴浩司アナは広報局。29歳の若手・大村晟アナはスポーツ局へ。注目すべきは、女性アナたちの異動先だろう。
「アナウンス室長を務めていた佐藤里佳さんは、各局が力を入れるCSR(企業の社会的責任)・SDGs(持続可能な開発目標)推進室。また森本さやかさんは出世コースともいえる人事部です。局内でも話題になっているのは、報道局FNNプロデュース部に異動した藤村さおりさん。報道局への異動は栄転といわれているうえ、部長待遇へと昇進しているので、上層部からの期待が伝わってきます」(広告代理店関係者)
アナ職からの異動は左遷ではない
テレビ局内の事情にも詳しい、テレビ解説者の木村隆志さんもこう語る。
「これまでは宣伝や営業など、知名度を活かした部署に行く機会が多かったのですが、今回の人事を見ると、異動先が広がった印象を受けました。フジテレビは特に女性役員の割合が少ないといわれている中で、女性の役職者を増やしたり、アナウンサーの知名度やスキルの高さを活用していこうという動きがあります」
局の花形とも見られるアナウンサーから裏方に回るのは、視聴者からすると左遷のようにも感じるが、近年は事情が異なるようだ。
「会社員にもかかわらず私生活までマスコミなどに追われるアナウンサーを志望する学生は年々減っていて、優秀な学生ほど報道部やコンテンツ事業部などの部署を希望する傾向があります。
またコロナ禍の影響で広告収入が減っているテレビ局は、放送事業以外でいかに利益を出せるかが課題になっている。人材を見極めて採用する人事部やSDGs推進室などのような新部署に、実力派のアナウンサーを投入したところから見ても、フジテレビの本気度が伝わってきます」(前出・広告代理店関係者)
フジテレビの改革は、番組編成にも表れ始めている。