2021年6月、上野動物園で4年ぶりにジャイアントパンダの赤ちゃんが生まれた。母親はシンシン。漢字では真真と書く、中国生まれのパンダだ。日本ではもちろん、本場中国でもその人気は高い。ただ普通のパンダは見飽きているようで、中国では風変わりなパンダが人気を博しているようでーー。
ふでぶてしい態度が人気!? 中国最新パンダ事情
何かと政治的な軋轢が生じがちな中国だが、非常に強力な外交カードのひとつがパンダだろう。
日本でのパンダ人気は説明不要だけれど、中国とは常に政治的な緊張関係にある台湾でさえ、台北市立動物園にパンダがおり、地下鉄の構内ビジョンで「今日のパンダの様子」を報道していたこともあるくらいで、人気の高さがうかがい知れる。
パンダは動物でありながら、中国のイメージ向上に相当な貢献をしていると言えるだろう。
そんな中国で今、話題になっているパンダは、四川省・成都の『成都ジャイアントパンダ繁殖研究基地』にいる金宝(ジンバオ)(2019年8月9日生まれの雄)だろう。普通のパンダより耳が大きくボサボサかつフワフワしており見た目はキュートなのだが、その反面ふてぶてしく見える態度が大人気なのだ。
中国国内からは「耳がお団子ヘアーみたいで可愛い!」「パンダの耳ってこうだっけ?」等々と注目されているものの、その態度も相まって、日本人としてみれば、YouTuberでお笑いタレントのフワちゃんを彷彿させるものがある。
金宝が母親と暮らしている成都の『パンダ研究基地』では、パンダの情報を中国語だけでなく、英語・日本語でも発信しており、それによると金宝はわんぱくで食いしん坊とのこと。
「パンダとふれあう」本場ならではのサービス
パンダは見ているだけで幸せな気持ちになれるものだが、実際に愛くるしい彼らとふれあってみたい読者もおられることだろう。
四川省だけでも6つのパンダ基地があり、都江堰(とこうえん)パンダ保護公園では実は一般人でもボランティア体験によって、パンダの食事のお世話といったふれあいも可能だ。
この施設では、1日20人限定ではあるものの、1800元(約3万円)を寄付することによって、パンダとのツーショットも可能だ。
残念ながら筆者はまだパンダ基地には訪問していないが、中国でレッサーパンダを30元(約480円)、ホワイトタイガーの赤ちゃんを50元(約800円)で抱っこ・ツーショットを撮影してもらった経験がある。ジャイアントパンダとは分類は違うけれど、レッサーパンダを抱っこした感触を述べると、体毛はフワフワではなく、デッキブラシのようにゴワゴワとした野生を感じたことから、ジャイアントパンダの体毛も似たようなものだと推測される。
だが、ジャイアントパンダは漢字で大熊猫と書くように、クマ科の仲間なので、意外と凶暴な一面もあるということも忘れてはいけない。