《失われた信頼を回復できるよう、償うべき償いを行い、これからの議員活動で答えを導きだしながら、ご奉仕させていただきたい》
9月28日にそう自身のホームページで表明したのは元都民ファーストの会の木下富美子東京都議。
今年7月、無免許運転で当て逃げ事故を起こした。木下都議は自動車運転処罰法違反の罪などで書類送検され、都議会では2度にわたり辞職勧告を決議されている。
木下都議は冒頭にあるように辞職しない意向を示す。その一方で、体調不良を理由に都議会定例会をすべて欠席。正副議長の「出頭」にも応じず、公の場所に姿を現していない。事情を聞くため板橋区の事務所と豊島区の自宅を訪れたが、応答はなく、送ったメールにも返信はこなかった。
木下都議は騒動に対する都民への説明も果たさず、雲隠れを決め込んでいるのだ。
権力にしがみつく議員の卑しさ
元衆議院議員で、自身も不祥事により辞職した経験がある宮崎謙介さんが説明する。
「木下都議が辞職をせず、表にも出てこない理由は2つ考えられます。まず、初めて大きなバッシングを受けたことで精神的に参ってしまい身動きがとれない。もう1つは大変なことをした自覚はあっても、その後の生活を考えて辞められない。そんな事情があると推測されます」
国会議員、地方議員問わず、辞職勧告を受けたとしても除名処分をされない限り、いつまでも議員を続けられるのだ。
「これは身から出たさびです。世の中からこれだけの反感を買っており、さらに体調も崩している以上は早くに決断をしたほうが本人にとってもいいでしょう」(前出・宮崎さん)
木下議員に限らず、辞職勧告を受けている不祥事議員は少なくないのだが、一様に議員の椅子にしがみつく。
ジャーナリストの大谷昭宏さんが指摘する。
「お金と名声、数多くの特権は非常に魅力的なのでしょう。国会議員ならば月100万円を超える歳費などの収入もあります。以前、野々村竜太郎元兵庫県議は『調査活動費』を不正に使い、温泉三昧、カラ出張を繰り返していました。野々村に限らず、飲食や生活費に充てるなど不正な利用が相次いでいます」