《びっくりするのがふたりとも知らぬ間にセリフ覚えてるの。(中略)二人をダブルキャストにして良かったなと、そんな時強く感じまする》
12月15日、市川海老蔵が自身のSNSを更新。自発的に歌舞伎のセリフを覚える子どもたちの成長を喜んだ。
「海老蔵さんは、堀越勸玄くんと市川ぼたんちゃんの家族3人で、年明けの1月3日から新作歌舞伎『プペル~天明の護美人間~』に出演予定。もとになった絵本『えんとつ町のプペル』はお笑い芸人の西野亮廣さんが原案。'20年12月に映画化され大ヒットし、海老蔵さんも家族で作品の大ファンであることを公言していますから、上演が待ち遠しいのでしょう」(松竹関係者)
『プペル』歌舞伎化に“麻央さんの想い”
海老蔵が“ハマった”作品が歌舞伎となって上演されるのは、今回が初めてではない。
「'19年にも『スター・ウォーズ』を歌舞伎化して勸玄くんと共演。舞台挨拶では海老蔵さんが、父である十二代目市川團十郎さんと初めて映画館で見たのも『スター・ウォーズ』だったと振り返っていました」(同・松竹関係者)
これらの新作歌舞伎は、単なる人気作の便乗というわけではないようだ。
「『プペル』は亡き父の夢を息子が叶える話ですし『スター・ウォーズ』もシリーズを通して親子の確執や家族愛が描かれています。'13年に父を、'17年には妻の小林麻央さんを失った海老蔵さんにとって“家族”をテーマにした作品に惹かれるものがあるのでしょうね」(梨園関係者)
海老蔵はここ数年、ずっと家族の在り方を模索し続けていた。
「麻央さんは子どもたちとの思い出を満足につくれなかったことを悔やんでいました。『プペル』の歌舞伎化には“親子の時間を大切にしてほしい”という彼女の思いが込められているのかもしれません」(前出・松竹関係者)
歌舞伎評論家の喜熨斗勝さんは、家族愛を前面に出す海老蔵のスタイルに時代の変化を感じるという。
「かつての歌舞伎界は、役者が家族サービスでもしたら“情けない”と糾弾されるほど。芸に邁進してこそ一人前の役者とされていました。その点、海老蔵さんは子どもたちへの愛情を全身で表現することで、2人を役者として成長させながら、歌舞伎ファンの獲得につなげています」
彼の強い愛情は、家族だけでなく、歌舞伎界全体にも向けられているようだ。
「海老蔵さんは'20年から長時間労働を改善するため、興行中に2日の休日を設けることを提言し実現。周囲の人も仕事だけでなく、家庭を大切にしてほしいという考えが根底にあるんですよ」(前出・梨園関係者)
プペル歌舞伎はきっと、麻央さんも空の上からしっかりと見ていてくれるに違いない。