昨年末、突然ある“柄”が商標出願された。“レトロゲーム世代”にはおなじみであろう波線だ。
ファミコンのラベルの絵柄が商標出願、そのワケ
「'83年に発売された『ファミリーコンピュータ』用のゲームソフトのラベルの絵柄が、発売元である任天堂より12月19日に商標出願されました。ファミコンソフトのラベルに使われていた特徴的な波線の絵柄です。ファミコンソフトのラベルのデザインは、発売初期はすべてのゲームソフトで同じ絵柄が使われ、違いはタイトル名の記載と色のみでした。
ゲームごとに違うイラストのラベルとなったのは発売から1年ほど経った'84年ごろ。ソフトの値段が一律3800円から4500円への値上げされたときに変更となったかと思います」(ゲーム雑誌編集者)
“ファミコン”の名を世に知らしめたといえる名作『マリオブラザーズ』の第1作目('83年発売)などに使われていたこちらの絵柄。
「この柄を見ればひと目で“何か”わかるため、レトロゲーム好きなどの間で“非公認グッズ”が作られたりしています」(同・ゲーム雑誌編集者)
ファミコンの発売は'83年のこと。しかもこのソフトのデザインは最初期に使われていたものである。それがなぜ今になって商標出願となったのか……。“今さら”といっていいタイミングである。
今回の任天堂のように、「古くから広く認知されていた」といえる柄などを、数十年後に商標登録(出願)する理由は、どのようなものが考えられるのか。
「商標登録を行うということは何らかの商品・サービスの提供を計画していると考えていいでしょう。今回の場合は、おそらく昔のゲーム、あるいはそのリメイク作の再発やオンラインでの提供を考えているのだと思います。もちろん、計画なので必ず実行されるとは限りません」
そう話すのは、弁理士の栗原潔氏。
数十年ごしに出願するというケースは多々あるのだろうか。
「仮に任天堂がレトロゲーム関連の商品やサービスを販売して話題になった場合、関係ない企業による便乗商品やサービス、および不正目的の無断での商標登録を狙った“勝手出願”が十分に予想されます。これを未然に防止するために商標登録出願を行ったものと考えられます」(前出・栗原氏)
今年は発売40周年という節目。なにかあるのか。商標を出願した任天堂株式会社に問い合わせると……。
「大変恐れ入りますが、個別の商標登録に関してお答えすることはございません」(任天堂株式会社担当者)
2023年.“テレビゲーム”を家庭に広めたファミコンが誕生して40年。今年、マリオやドンキーコングが新たな動きを見せるか。