目次
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ー 海外旅行を推奨も
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ー 海外のキャンペーンにも注目
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ー 海外も“ニューノーマル”に

 今年のゴールデンウイークは、国際線の利用者が昨年の2倍以上にもなったという。

 4月29日以降、これまで入国・帰国時に求められた「出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書」や「ワクチンの接種証明書(3回)」の提出が不要となったことで、海外旅行に出かける人が増加。5月8日からは、新型コロナウイルスが5類に移行したこともあり、「海外旅行に行く」という心理的ハードルは、大幅に下がりつつある。

 こうした背景を受け、観光庁は「今こそ海外!宣言」と題して、海外旅行に行く日本人を増やすためのキャンペーンを開始。感染拡大前の2019年は、2000万人いたアウトバウンド(海外旅行に出かけた日本人の数)は、コロナ禍によっていまだ4割程度しか回復していない。現在、7割ほどまで戻ってきたインバウンド(訪日外国人旅行)と比較すると回復が遅れているため、観光庁が後押しする形でアウトバウンドを増やそうというわけだ。

海外旅行を推奨も

「インバウンドとアウトバウンドのバランスは、5:5が理想です」

 そう説明するのは、『ひるおび』(TBS系)、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)などのニュース情報番組に登場する航空・旅行アナリストの鳥海高太朗さん。今回のキャンペーンについて解説する。

「コロナ禍によって、国際便は急減しました。現在は回復傾向にありますが、アウトバウンドが増えなければ、飛行機の便数は増えません。(日本から出発する)行きの飛行機でアウトバウンドが搭乗し、帰りの便でインバウンドが搭乗する。往復の搭乗率が高くなることで便数は増えます。利用者が増えれば、航空券の価格も安くなる可能性が高まりますし、さらにインバウンドが増える好循環にもつながります」

 そのため、今回のキャンペーンでは、日本旅行業協会(JATA)などと連携し、「パスポート取得費用のサポート」「旅行する人へ特典」「航空券などプレゼント」といったサポートをすることで、積極的に海外旅行を推奨する。

 だが、その内容はやや物足りない。海外Wi―Fi無料レンタル(100名分)、電源変換アダプター無料提供(50台)などは、“旅行期間”“先着順”といった条件ありき。キャンペーンの目玉であるパスポート取得にかかる費用の半額(=8000円)分支援に関しても、「10年のパスポートを取得または更新」、「対象の旅行会社を通じて実際に旅行に出発した18歳以上」といった条件をクリアした上で、抽選で3210人に電子ギフトとしてプレゼントするという中身なだけに、恩恵にあずかれる人は少ない。