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ー 長い歴史で培われた体制や価値観ゆえに

「10月上旬に報じられた“いじめ自殺事件”以降、宝塚歌劇団内部の“異常”とも捉えられかねない体質が連日報道されています。中には、運営サイドに不信感を持った20~30人の団員たちが退団する可能性があるという報道も出ています」(スポーツ紙記者、以下同)

 週刊女性も前号で宝塚歌劇団とタレント契約した団員がチケットやDVDを自費で購入するといった“ブラック契約書”の存在を報じている。

 一連の騒動について、宝塚への取材歴があるライターの和久井香菜子さんに話を聞いてみた。

「内情を直接見たわけではないですが、私を含めてファンはみんな団員のことを心配していますし、彼女たちの幸せを願っています」

 宝塚への愛は変わらないと和久井さん。宝塚の魅力は“美しいもので満たされていること”と語る。

「女性の夢と理想にあふれた舞台なので不快な思いをする要素がいっさいありません。ほかにも、退団する団員には花を持たせていい役をくれたり、同期で組んでダンスをするなどの団員同士の関係性を活かしてファンを喜ばせてくれる演出も魅力の一つです」

長い歴史で培われた体制や価値観ゆえに

 元タカラジェンヌたちの印象も語ってくれた。

「私が知っているOGたちは、宝塚に所属していたことを誇りに思っていました。プライベートでもスター性がある方ばかりです。関係者で宝塚のことを悪く言う人を私は見たことがありません」

 多くの人を魅了し続ける宝塚だが、その美しさがかえって内部に潜む問題の解決を遠ざけているのかもしれない。

問題視されている厳しい上下関係や指導が、タカラジェンヌたちの洗練された美意識や神秘性につながっていることは否めません。来年で110周年と長い歴史で培われた体制や価値観ですから、すぐに変革することは難しいのでは」(前出・スポーツ紙記者)

 そんな保守的な宝塚でも無視できないのは、スポンサーとの兼ね合いだろう。

「人気のあるタカラジェンヌは、企業と広告契約しているケースがあります。しかし、宝塚の暗部が明るみに出た現在は、スポンサーが撤退する可能性も否定できません」(広告代理店関係者、以下同)

 いじめ事件の報道後に発行された旅行情報誌の表紙には、Aさんへのいじめに加担したと報じられた劇団員の姿が。

「この情報誌の発行元は『阪急交通社』という阪急の子会社。スポンサーではありませんが、いじめに加担していた劇団員を表紙に起用しているのであれば、問題視されてもおかしくないでしょう。外部のスポンサーだと、30年以上も協賛し続けている『三井住友カード』が挙げられます。会員限定で公演の観覧に応募できる特典を設けたり密接な関係を築いています」

'15年から団員がイメージキャラクターを務めている、阪急交通社が刊行する旅行情報誌の表紙(一部画像を加工)
'15年から団員がイメージキャラクターを務めている、阪急交通社が刊行する旅行情報誌の表紙(一部画像を加工)

 これまでの報道を受けて、各社はなにかしら対応を取るのか。阪急交通社に問い合わせるも期日までに返答はなかったが、三井住友カードは、

「現在、外部弁護士による調査チームが調査を行っている旨、説明を受けております。調査チームの回答を共有していただけると認識しておりますので、現時点で未定です」

 とのことだった。

“乙女の花園”の未来は、スポンサーに委ねられているのかもしれない。

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