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ー 体調不良から復帰の芸歴35年、呪縛が完全に解けるのはいつ?
鈴木京香

 鈴木京香が活動を再開した。昨年5月、主役に決まっていた連ドラ『この素晴らしき世界』(フジテレビ系)を体調不良のため降板。その後、公式インスタグラムで事務所スタッフが回復ぶりを伝えていた。そして3月15日、同インスタで新たな報告が。

《2024年冬グランメゾン東京スペシャルドラマ放送が決定いたしました!!(略)鈴木は本作で女優の仕事再開いたしました》

 復帰作はTBS系で5年前にヒットした、木村拓哉主演ドラマのヒロイン役だ。まずは何よりだが、そこでふと思いを馳せたのが彼女の「作品運」についてである。

体調不良から復帰の芸歴35年、呪縛が完全に解けるのはいつ?

 大学在学中に地元・仙台でモデル活動を始め、1989年に映画『愛と平成の色男』で女優デビュー。ヒロインの1人で、当時トレンディー俳優と呼ばれた石田純一が光源氏みたいな役を演じる作品だった。

 まさに隔世の感も抱いてしまうが、その2年後には大役に抜擢される。'91年度のNHK朝ドラ『君の名は』の主役だ。

 オリジナルは'52年にラジオドラマとして制作され、放送時間になると「銭湯の女湯から人が消える」という噂まで飛び出した伝説的作品。愛し合う男女のすれ違いが繰り返される展開がウケ、岸惠子が主演した映画も大ヒットした。

 NHKはこれを朝ドラ30周年の記念にリメイクして、異例の1年間放送にするなど、時間もカネもかけて臨んだ。

 しかし、視聴率は当時の最低記録を更新。主役の鈴木は「平成の岸惠子」となるどころか、デビュー間もない時期に「黒歴史」を背負ってしまった。

 が、それでも失速することはなく、三谷幸喜作品などで実績を重ねていく。相手役の倉田てつをがあまり見かけなくなったのとは対照的だ。

 そういう意味で、彼女に「作品運」がないわけでもないのだが──。実は恋愛遍歴において『君の名は』の呪縛めいたものも感じるのだ。

 彼女がこれまでに本格的な熱愛を報じられた相手は3人。堤真一真田広之、そして長谷川博己である。報道では、どれも結婚を前提としたものとされるが、まだ独身が続いている。

 堤とは手つなぎデートをしたり、海外旅行からふたりで帰国したりの堂々交際。真田のときは、熱愛中に彼がロサンゼルスへ移住したため、自らも現地に億ションを購入して追いかけていったりしたという。

 また、長谷川とは'14年1月にスポーツ紙が「今春にも結婚」と報道した。ただ当時「格差婚」と呼ばれることを長谷川が嫌ったともされ、'18年には破局説も流れることに。つまり『君の名は』で繰り返された「すれ違い」が実人生でも、と言いたくなるような状況だったりする。

 とはいえ、長谷川との交際は続いており、今回の体調不良についても献身的にサポートしていることが伝えられた。買い出しや愛犬の散歩を手伝うなど、すでに「事実婚」状態ともいわれ、すれ違いの繰り返しはそろそろ終わりつつあるのかもしれない。

 なお、個人的に印象深い彼女の作品は'96年の主演連ドラ『オンリー・ユー~愛されて~』(日本テレビ系)。過食嘔吐をするモデルの役をシリアスに演じていた。三谷作品で見せるコミカルな顔と、その一方のシリアスな顔、どちらが地に近いのだろうとも思うが、女優としてはそれも神秘性につながる。

 ちなみに、彼女が売れたおかげか『君の名は』は'06年にBSでアンコール放送された。NHKもホッとしているに違いない。

宝泉薫(ほうせん・かおる)●アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。