3月22日、天皇、皇后両陛下は、元日に発生した石川県能登半島地震の被災地を見舞われた。訪問先の一つであった『輪島市ふれあい健康センター』の職員は、両陛下のご様子について、
「約20人の被災者一人ひとりと丁寧にお話しされていました。相手と目線を合わせるため膝をついて“震災当時、どのような様子でしたか”とお尋ねになったり“大変でしたね”と声をかけ、被災者に寄り添われていました」
新年一般参賀の開催をお見送りに
両陛下は地震発生直後の状況を鑑み、新年一般参賀の開催を見送られた。その1か月半後、天皇陛下のお誕生日会見では「昨年10月に、二人で揃って金沢市を訪問し、県民の皆さんに温かく迎えていただいた」と、被災した石川県への思いを語られていた。
昨年10月、石川県で開かれた『いしかわ百万石文化祭』の開会式に出席された両陛下について、
「当日、おふたりが乗られたチャーター機の遅延で、石川県に入るのが遅れそうという話がありました。“無事にお越しいただけるか”と心配していましたが、おそらく昼食の予定をスキップされたようで、開会式に予定どおりいらしてくださいました。
雅子さまは席につかれる際、少し躓かれたようで、会場がどよめくといった、ちょっとしたハプニングもありましたね」
そう話すのは、開会式で国歌独唱を担当したメゾソプラノ歌手の鳥木弥生さん。
「歌う前に最敬礼のマナーを学びましたが、両陛下の姿勢がとてもきれいで表情もにこやかで、自然に最敬礼ができるような気品を感じました」(鳥木さん、以下同)
自身の家族も被災した鳥木さん。今回、両陛下の被災地訪問が発表されたことを受け、期待を募らせていた。
「“能登はやさしや土までも”という言葉があるほど、能登の方たちは強くて優しい人が多いんです。家族からはこうした大変な状況下でも、地元の人たちと助け合っていると聞きました。しかし、自分に余裕がなくなっている方も。
被災者それぞれの被害状況や経済状況は異なるので、足並みをそろえることは難しいのかなと思います。
そうした状況下ですが、両陛下がお姿を見せてくださることで、気持ちだけでも同じ方向に向くことができるはず。両陛下の訪問は復興に向かう助けになると信じています」
陛下が皇太子時代には、'11年に起こった東日本大震災など、被災地へのお見舞いは珍しいことではなかった。しかし、コロナ禍もあり、即位後に被災地へ赴かれてのお見舞いは、今回で2度目。前回は'19年12月、台風19号などで大きな被害を受けた宮城県と福島県を訪問されている。