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ー 久しぶりって感じはしなかった
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ー 生きる時代間違っちゃった

「慎吾ちゃんの映画『凪待ち』('19年)も素晴らしかったので、白石(和彌)監督とお仕事できることがうれしいなと思いました」

 と、草なぎ剛。時代劇映画への出演は約15年ぶり。

久しぶりって感じはしなかった

草なぎ剛(49)撮影/廣瀬靖士
草なぎ剛(49)撮影/廣瀬靖士

「でも大河ドラマ(『青天を衝け』'21年)もやっていたので、それほど久しぶりって感じはしなかったです。撮影初日は衣装やカツラで肩がこったかな。扮装はやっぱり準備に1時間以上かかるので。でもすぐ慣れて、なじんで撮影できました」

 主演映画『碁盤斬り』で演じているのは、柳田格之進。覚えのない罪で故郷・彦根藩を追われ、娘(清原果耶)とともに江戸の貧乏長屋で浪人暮らしをしている。しかし、武士の誇りは忘れていない。町の人々と興じる囲碁においても、実直な人柄がにじみ出る。そんな囲碁のシーンは、とにかく時間がかかったそう。

「もう、すごいんですよ。朝9時には支度が終わっているのに、カメラが回り始めるのは13時とか。京都撮影所はこだわりの職人さんが集結していて。碁盤は撮り方が本当に微妙で難しいらしくて。例えば、照明さんも“あ、ダメだね。もう1回”とか。何がダメなのか全然わかんない(笑)。そして完成した画を見ると、職人のみなさんの芸術的センス、気迫や魂がこもっていて。本当に僕が口を出さなくてよかった(笑)」

 そんな冗談を交えながらも、苦労したかいがあったと微笑む。ちなみに草なぎの囲碁の腕前は?

「全然ルールわかんない(笑)。でも、碁を持ったときの返しはすごく練習しました。多分、囲碁をやられる方はわかってくれると思う。そんな指先にも注目してもらいたいですね」

 ある日、なすりつけられた罪の真相を格之進は知る。自分と亡き妻の誇り、そして娘の未来のため、復讐を決意。前半の江戸情緒あふれる平穏さから一転、怒濤の復讐劇へ。

「柴田兵庫(斎藤工)を復讐のために捜すあたりから、まるで白い生地に血がにじんでいくような感じがあって。どんどんボロボロになっていく男の姿に痺れましたね」

 別人になったかのような格之進。すさまじい行動とその信念には、ただただ圧倒される。