目次
Page 1
ー 昭和を代表する国民的スター大村崑
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ー 92歳にして本格的な歌手デビュー ー 売れっ子になり、主治医から激怒の電話が
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ー 肺を切除した恩人からの電話 ー 身体が弱かったから「病院好き」「薬好き」
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ー カルーセル麻紀さんから見た夫婦仲
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ー 長生きするなら、102歳のほうが「リアルちゃう?」
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ー 笑いは砂糖。人生を引き立たせる調味料

「僕、高齢者やめたんです」

 そう笑いながらスクワットを披露する。

昭和を代表する国民的スター大村崑

今でも日本各地で見ることができるオロナミンCのホーロー看板
今でも日本各地で見ることができるオロナミンCのホーロー看板

 昭和を代表する国民的スター“崑ちゃん”こと大村崑さんが、結果にコミットしようと思い立ったのは、今から約6年前の2018年4月のこと。以来、週2回、欠かさずライザップに通う。

 太ももが地面と平行になるほど腰を深く落とし、「これが効くんです」と上方特有のイントネーションで喜々として話す姿は、とてもではないが御年92歳とは思えない。かつて日本中の街角に張られていたオロナミンCのホーロー看板に書かれていた『元気ハツラツ!』。その看板の“顔”であった崑さんは、今なおキャッチフレーズを体現するかのように現役であり続ける。

「僕は19歳のとき、結核の影響で片方の肺を取っているんです。医者からは40歳まで生きられないだろうと言われていたくらい。ですから当初は、『元気ハツラツ!』なんてキャッチフレーズの商品に出演することなんてできないと拒んだんです。死んだらえらいことになるでしょ(笑)。ところが、3回も交渉に来てくれて、最終的にうちの女房である瑤子さんが、『やらせていただきます』と引き受けた。昭和の顔になれたのは、瑤子さんのおかげなんです」(崑さん、以下同)

 実は、肉体改造への扉を開いたのも瑤子さんだった。

週2回はライザップへ通っている。瑤子さんは週4回は通っているそう
週2回はライザップへ通っている。瑤子さんは週4回は通っているそう

「お腹が出てきて、服が入らない。少し歩くだけで息が上がってしまう。見かねた瑤子さんが、『一緒に行きましょう』って。僕は、『冗談やない』と断る気満々やったんだけど、受付の方の説明がとてもよくて、ほんなら試しで行ってみよかと。最初はキツかったですよ。でも、お腹はへこんでくるし、息切れもしなくなってきた。気がついたらハマってました」

 90歳を過ぎた今でも、30キロ台のバーベルを担ぎながらスクワット(10回×3セット)をこなすという。背筋をピンとしながら、ハキハキと話す崑さんを見ていると超人的なご長寿─“ご超寿”、そんな言葉が浮かんでくる。

「80代で始めた筋トレがくれたものは、健康な身体だけではないんです。身体を鍛え始めたことで幸せで満ち足りた生活になりました。僕は、心から筋トレを始めてよかったと思っているんです。今が一番、『元気ハツラツ!』です」

 7月の大相撲名古屋場所でのこと。王鵬に寄り切られた正代が、土俵からたまり席に転げ落ちた。たまたまそこで観戦していた崑さんは、その巨大な“肉弾”をひらりと避けた。あまりにも見事な身のこなしに、観客、SNS、ニュースと、日本中が大いに沸いた。

 どうしてこれほどまでに、肉体的にも精神的にも若々しいのか? 取材を通じて、それを教えてほしいと伝えると、崑さんは屈託のない顔で笑った。

トレーナーの岩越亘祐さんと。「スーパーマン(岩越さん)が褒めてくれるから続いてるんです」(崑さん)
トレーナーの岩越亘祐さんと。「スーパーマン(岩越さん)が褒めてくれるから続いてるんです」(崑さん)