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60歳を目前にして、「老後資金が心もとない……」と不安を感じている人は少なくないだろう。PGF生命が行った「還暦人に関する調査(2024年)」によると、60歳時点で貯蓄100万円未満の人の割合は28.9%。
平均寿命が男女共に80歳を超える現在ではとても足りず、2000人の有効回答のうち約4人に1人が老後資金ゼロに等しいといえる。
中高年の4人に1人、ほぼ貯金ゼロのワケ
ファイナンシャルプランナーの塚越菜々子さんは、その要因を次のように分析する。
「まず“教育費貧乏”に陥るのが大きいでしょう。塾代など子どもの教育にお金をかけすぎてしまい、貯蓄が底をつく状態です。次に夫が50代で役職定年を迎え、給料の大幅ダウンに伴って貯蓄を取り崩すパターン。ほかには老親の介護費用を背負わざるを得ないケースも見られます」
60歳貯蓄ゼロの厳しい現実。そんな究極のピンチを乗り越え、老後資金をつくるにはどうすればいいのか。
「老後の収支を把握することが資金づくりの第一歩です。目標金額もなく、やみくもにお金をつくろうとしてもうまくいきません。支出は毎月の生活費だけでなく、医療や住宅のメンテ、趣味などにかかる特別費も見積もります。すると、最低用意しなければならない老後資金がざっくり見えてきます。
対して収入の柱となるのは、年金です。情報は『ねんきん定期便』でチェックを。50歳以降は同書類に年金見込額が通知されるようになるため、夫婦それぞれ確認しましょう。
加えて夫の退職金です。支給されるまで金額を知らないという人も多く、一括で受け取るのか、分割して受け取るのかなど制度の違いもあります。夫が事前に会社に聞いておくことで、老後のマネープランがより具体的になります」(塚越さん、以下同)