全国古墳ファンにはたまらないニュースが届いた。なんと古墳にわれわれ庶民も埋葬してもらえるチャンスが到来したというのだ。しかもそれを売り出すのは、かの明治天皇の玄孫、竹田恒泰さんだという。一体どういうこと?
「幼少期から、母方の墓が仏式の一般墓であった一方、父方の墓は神式の墳墓(上円下方墳)であったため、私は仏式と神式のお墓参りに違和感を抱くことはありませんでした。そのような背景の中、父のお墓をどこに設けるかを考え続けてきましたが、最終的には他人に任せるのではなく、自分自身で建てるべきだという結論に至りました」
そう答えてくれたのは、件の竹田さんご本人。現在、株式会社前方後円墳という会社を立ち上げ、『古墳の窓口』なるサービスを展開中だという。なんともオシャレかつ大胆でわかりやすい名称だ。
ニーズに合わせたサイズを提案
「どうしたら古墳墓が造れるか模索していたところ、周囲から“自分も古墳に入りたい”という声が多く出たので、事業化を考えました。2023年、販売されたお墓の50%以上は樹木葬だったそうです。時代の流れの中で、第三の選択肢として樹木葬の延長線上にある“前方後円墳での合葬墓”がよりふさわしいのではないかと考え、古墳墓の創建を決意しました」(竹田さん、以下同)
時代にフィットした墓として竹田さんが提案したものだそう。古墳なんて一般庶民が入っていいもの?
「もちろんです。一般的に古墳と聞くと、世界遺産となった巨大古墳群などを想像するかもしれませんが、当社が提供する古墳墓は、合葬墓や集合墓としての機能を持つもの。例えば、15メートルほどの大きさの古墳墓であれば、約3000柱を納めることが可能です。一般的な樹木葬と同じような価格帯で提供できます。もちろん、合葬墓だけでなく、前方後円墳の家族墓や個人墓も造ったり、ニーズに合わせたサイズをご提案することもできる。また、年内に5基の古墳墓(計8600区画)の販売を予定しており、翌年にはさらに10基以上の建設を計画しています」
現在、千葉県、香川県、愛媛県、広島県、福岡県の5県での販売を予定。大都市圏でも1区画(1人用)が40万円前後と格安。永代祭祀料(管理費)を含むプラン、含まないプランを用意している。また、遺骨を一つの区画にまとめて納めるタイプの合祀墓は、永代祭祀料を含めて10万円前後になる予定だそうで、お手頃感いっぱい。古墳は考古学的にいうと“3世紀から7世紀にかけて日本で築かれた高塚の墳墓を意味する”ものだそうだが……。
「私たちが築造する墓は、厳密には古墳ではありませんが古墳型墓、古墳墓、もしくは、古墳の復元プロジェクトなので、ストレートに古墳と呼んでいます。古墳を伝統的な構造物と捉え、古墳文化を現代に甦らせる目的です。現代日本人が、国の古代史に対する敬愛の念を深め、日本に生まれたことへの感謝の気持ちを一層強くすることを期待しています。これこそが、私たちの歴史的使命です」
ターゲット層は40代以上、“墓じまい”を考えていたり、神式の墓に興味を持っている人だという。竹田さん考案の古墳の1基目は千葉県で、8月末からの販売スタートになるとのこと。これからの埋葬のニュースタイルとして、検討してみては?