今やメディアで顔を見かけない日がない斎藤工が、初めて単独でゴールデンの連ドラ主演を飾った作品こそが『最上の命医』(2011年1月クール)。その続編『最上の命医2016』が2月10日、夜9時から放送される。
「優柔不断な自分と比べてしまうと、演じるうえでしんどい部分はありました」と語る斎藤。優柔不断な部分について聞くと、こんな答えが。
「今日でいうと、今、テレビ東京さんにいるから“自分はテレ東が好きです”みたいな顔でいるんですが、明日は日本テレビの仕事(主演ドラマ『臨床犯罪学者 火村英生の推理』)があるから“日テレでしょ、やっぱり”みたいな顔をするし(笑い)。
そういうあさましいというか、いやらしさはありますよね。それを戦略的にやってないところがズルいなと思いますね、自分でも(笑い)」
それは、向き合っている作品を大事にする気持ちの表れにほかならない。俳優業はもちろん監督業、才能ある“監督の卵”への支援、被災地にエンターテイメントを届ける移動映画館……自分のあるべき姿を決め込まず、活動を広げた5年間でもあったと振り返る。
「もちろん、軸として俳優業があるからできること。5年後ですか? それをさらに広げていきたいなと思っています」
現在、ドキュメンタリーを製作中で、映画の買い付けや配給にも興味があると目を輝かせる。先日、シッチェス国際映画祭(スペイン)で出会った、イーライ・ロス(監督兼俳優)には非常に感化されたという。
「海外の俳優さんって、自分でプロデュースしたり、監督したり、脚本を書いたり、みんながクリエーターなんです。僕なんかもたぶん、もっともっと前例のないところに転んでいってもいいんじゃないかなと思っています。
もしかしたら、連ドラの主役は、今やっているのが最後かもしれないし(笑い)。でも、そう思えることって、すごく健康的だと思うんです。僕は毎回、遺作だと思って撮影に挑んでいますから」
俳優を辞めるということ?
「いやいや(笑い)。僕がそこを勘違いして、クリエーターにシフト変更しても、失敗するのは目に見えているので(笑い)。俳優という軸を中心に、広くフレキシブルにいろんなことをやっていきたいと思っていて。
デビューから16年、時間をかけてこられたことは、自分にとってはすごく大事なプロセス。根が張っているぶん、急な風でも倒れずにすむので、踏ん張りがきく。その前提で挑戦していきたいなと思っています」
撮影/伊藤和幸