嫁と姑(しゅうとめ)が対立する中で、間に挟まれることが多い夫や舅(しゅうと)。しかし、
「夫は役に立たない!」
というのが世の女性陣のホンネだろう。
「昔のダンナさんたちは、嫁姑双方に説教をできるような人でした。“嫁だって頑張っているじゃないか”と姑に、“母も嫌われることを承知のうえで、注意しているんだよ”と嫁に言うなど、どちらのケアもしっかりしていたのです」
と指摘するのは、ノンフィクションライターの石川結貴さん。一昔前は、仕切り上手で発言権を握っていることも多かった男性陣だが、現代ではその立ち位置は揺らいでいる。
「女性が社会進出を果たし、経済力をつけ、職場でも男性と同等の発言権を得るようになりました。家庭でも強く発言できるようになったのです」(石川さん)
すると男性も、嫁と姑の1対1で話してもらうほうがラクだからと、介入しなくなるのだ。
「特に舅は当事者同士でやって、という考え方の人が多いですね。仲裁に入ってどちらかの火の粉をかぶるのも面倒なものですから。2人の戦いに気がつかず、自分の趣味に走る人も少なくないでしょう」
と語るのは夫婦仲相談所所長の二松まゆみさん。たしかに、ケンカではどちらの味方にもつきにくいもの。姑からすれば、頼みの綱の息子も、
「現代の息子たちはマザコンを恥じない人が多く、母親が嫁を攻撃することが信じられない人が多い。そのため、嫁の抗議をただ伝えるだけの伝書鳩状態。“じゃあ、なんて言えばいいの?”と嫁に確認して伝えちゃうぐらいです。“嫁はこう言ってるけど、母さんそんなことないよね?”なんて確認された日には、よりこじれてしまうかもしれません。仕事では商談や会議などで話術を発揮できる人であれど、身内に対してはまた別なんです」(石川さん)
■うまく嫁と母の仲を取り持ったつもりの【男】
そんな夫たちの中で苦い思いをした妻、多数。東京都内で両親と同居する坂本友哉さん(仮名・28歳・会社員)の嫁姑は一家で帰省中、大爆発した。
「僕が居間でくつろいでいると“寒くない?”“夕ごはんは何を食べたい?”“お風呂は何時にする?”などと、母が気にかけてくれていました。普通のことだと思っていたのですが、その晩、嫁から“あなたにもっと気を遣えとお義母さんに怒られた”と言われたので、母に伝えることに。
翌日、“こう言っていたけど(僕のことは)別に気にしなくていいから”と、うまく嫁と母の仲を取り持ったつもりでいたら、“お義母さんの味方をするなら、先に自宅に帰ります”と言う嫁。どちらとも仲よくすることはできないんですね……」
間に立っても、仲裁役にはならないのだろうか?
「お嫁さんはお舅さんを、お姑さんは息子さんを頼るとよいでしょう。お姑さんのことはお舅さんがいちばんよく理解しているので、相談してみてください。お姑さんは、お嫁さんだけを叱るのではなく、息子さんとセットで話をすることで、家族の問題だと印象づけられます」(二松さん)
(取材・文/小島裕子、本誌「嫁姑」取材班)