いまや空前の猫ブーム。話題の動画から女性誌の特集、別冊本までヒットをたたき出すのは猫ばかり。昨年のペットフード協会の調査によると、猫の飼育頭数は987万4000匹で、犬の頭数を越す勢いだ。
散歩の必要がなく、高齢者でも飼いやすいことから増加傾向にあるとみられる。一方で、人間の都合で捨てられる猫も後を絶たない。そんな猫たちを救う試みが全国で広がりつつある。
NPO法人『東京キャットガーディアン』は、年間700匹以上、里親に譲渡を行う猫カフェ型シェルター。
東京・大塚と西国分寺の2か所を拠点に運営している。一般的な猫シェルターは、行政の管理施設などで保護された猫を引き取り、里親に譲渡する。しかし、ここは猫カフェのスタイルをとる。
猫カフェ型シェルターの名のとおり、里親希望者ではない一般客も、シェルター内で猫に会い、遊ぶことができる。営業時間内であれば、事前連絡は必要ない。入り口で身分証を提示し寄付金を支払い、手を消毒すれば入室OKだ。
大塚シェルターには、3つの猫の部屋がある。いちばん広い部屋は、さんさんと日差しが降り注ぐ。代表の山本葉子さんが言う。
「ここは後から私たちがつくったロフトで、インテリアはDIYショップなどで買ってきたものなんです」
おしゃれな木製の壁面は、園芸用品などを応用したという。 この快適空間で暮らす猫たちは、毛並みが整い、きちんとケアされている。人懐っこい猫が多く、客たちの足元にすり寄り、ひざにのってくる猫も。
イス(猫も座る)が随所にあり、本棚には猫雑誌や関連本のほか、マンガも。
「カフェ型のスペースにするために本を置いています。マンガは私の趣味で集めました(笑い)」(山本さん)
壁には猫との暮らし方など、飼ううえで知るべき情報が掲示されている。取材時は小雨が降る平日にもかかわらず、次々と訪れる人が絶えなかった。
「ここで猫と遊んでいるうちに、里親に申請される方もいらっしゃいます」(山本さん)
自然に猫と仲よくなれる場所、気の合う猫が見つかる場所、それが保護猫カフェだ。
ここで里親になるには、定められたいくつかの条件をクリアしなければならない。18歳以上で経済力がある、原則として6歳以下の子どもがいない家庭など。一見、厳しいように思える条件もある。
「猫は長生きで20歳まで生きます。猫を飼うということは、その一生をまるごと引き受けるということ」(山本さん)
基本的には、条件をクリアしていれば、里親の申し込みをパソコンで行い、郵送される書類に必要事項を記入して個別面談のときに持っていく。大塚か西国分寺のシェルターから縁のある猫を探して、引き取りを決定する。
シェルター内の猫たちは、避妊手術ずみで、ワクチン接種などもすませている。譲渡時には、その諸費用(原則1匹3万4000円)を支払う。
「ご家族連れの方で、それぞれお気に入りの猫が見つかり、決めるのが大変だったことも」(山本さん)