川崎市幸区にある介護付き有料老人ホーム『Sアミーユ川崎幸町』で入居者を殺害したとして、元職員・今井隼人容疑者(23)が逮捕された。
高齢化社会が進む昨今、少しでも安心して入居できる施設選びについて専門家の意見を聞いてみた。『一般社団法人 有料老人ホーム入居支援センター』の代表理事・上岡榮信さんは、こう話す。
「ひとつは看取りをきちんと行っているかです。少なくとも年間に3人の看取りをしているようなところがいいですね。また、診療所の先生の名前を尋ねてすぐに名前が出てくるところ。悪い施設だとあやふやな言葉で濁します。
二つ目は、食事。見学に行って実際に食堂で食べてみてください。利用者に対する配膳の仕方が雑ではないか、丁寧に対応しているかなどを確認しましょう」
またスタッフがしっかり目を見て挨拶しているか、言葉遣いなどもチェックするべきだという。さらに、認知症ケアをきちんと行っている施設。認知症の人が外出しようとしているとき、引き止めず、出させてあげるホームがいいという。
「いい施設はGPSを持たせ、1時間ほど自由に散歩させる。迎えにいくときは“お帰りですか? 私も帰るとこなので一緒に帰りましょう”と言って連れて帰るんですね。決して相手のプライドを傷つけない。そしていい施設は基本的に認知症患者の入所を拒否しません」
結局、いい施設とは何か。上岡さんは言う。
「最終的には人です。食事がまずかろうが、建物が古くても頼りになる人がいることが大きなポイントです」
今井容疑者にも頼りになる人がいれば今回の事件は起こらなかったかもしれない。
取材・文/フリーライター・山嵜信明と週刊女性取材班