「赤ちゃんには日光浴をさせるもの」「断乳は1歳までに」。そんな祖父母世代の子育ての常識が、変わってきているのをご存じだろうか。
実は、乳幼児の育児の基準となる「母子健康手帳(母子手帳)」は厚生労働省が5年に1回、内容を見直しており、10年ごとに大改訂が行われている。冒頭に挙げた日光浴は1998年、断乳の時期は2002年に変更された項目だ。
脳科学の発達などにより、「実はこちらのほうが子どもによい」と判明することも多く、今後も子育ての常識は変わっていく可能性があるのだ。
働くママの増加とともに「孫育て」をする祖父母が増えている昨今だが、「当たり前」の食い違いが起こる家庭も。
この産後の“常識クライシス”の一因について、多くの子育て、孫育てを見てきたNPO法人孫育て・ニッポンの理事長・ぼうだあきこさんは、出産直後の身体の変化を挙げる。
「出産直後のママは、ホルモンのバランスが崩れ、本能的に『獣』に近い状態。信頼できると思えれば同志になれますが、赤ちゃんのお世話の方法が食い違うなどすると、一気に敵になってしまうんです」(ぼうださん)
また、遠慮なくものが言い合える実の親子ほど、常識の違いで溝が深まりがち。とくに里帰り出産は、祖父母世代とパパママ世代が久々に一緒に暮らすパターンが多い。価値観や生活観が異なり、衝突が起きやすいというわけだ。
では、祖父母世代とパパママ世代がスムーズに協力して子育てをするには?
「まずは、2世代で情報共有をしておくこと」(ぼうださん)
出産前に今の子育て方法や世代間のギャップを確認しておく。また、パパママ世代は、自分たちの育児方法や、祖父母世代にやってほしいこと、やってほしくないことを伝えておくことが大切だ。
「そのうえで、祖父母世代にお願いしたいのは、産後の体調が落ち着くまでは、ママのやり方を尊重してあげること」(ぼうださん)
イラスト/アライヨウコ