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 「保育園落ちた日本死ね!!!」と題した匿名ブログをきっかけにした怒りの反乱はいまだおさまる気配がない。政府与党は緊急対策に乗り出すなど、ついに政治を動かすまでになったが、苦しい境遇にあえぐのは子どもを持つ親だけじゃない。保育の現場で今、何が起きているのか。

「待機児童が指摘されるようになってから20年がたちます。その間、問題は温存されたまま今に至ります。なぜ少子化なのに待機児童が解消されないのか。保護者のニーズを読み取り、適切な取り組みを各自治体がしてこなかったからです。現に、取り組み内容によって自治体間の格差が広がっています」(元帝京大学教授で保育研究所所長の村山祐一さん)

 厚生労働省の調査によれば、全国の待機児童は今年4月時点で3万人超えといわれている。加えて先月28日、“隠れ待機児童”が6万人いることもわかった。これは従来考えられていた数の2.6倍に当たる。なぜこのような誤差が生じるのか。

「育休を延長したら待機児童からはずすなどして、国や自治体が勝手に定義を変えて、待機児童の数をできるだけ少なく見せようとしてきたからです」(村山さん)

 待機児童は一般に人口過密な都市部ほど多いイメージがある。ところが、実は東京都心だけの現象にとどまらない。

「大都市圏で深刻なのは確かですが、例えば同じ東京都のなかでも地域間格差が大きい。待機児童は急に減りません。整備を含め5年はかかる。子どもは地域で育ちます。保育園から小学校、小学校から中学校と、親は、地域で子どもが成長していく姿をイメージします。そうした視点が国や官僚たちにはない」(村山さん)

 現在、日本でいちばん待機児童が多い地域は東京・世田谷区。1000人以上と突出している。

「都が独自に認証する認証保育所ばかり増やす一方で、公立の認可保育所を統廃合して減らした結果です。認証保育所は子ども1人あたりの面積要件がゆるい基準でもかまわないため、作りやすい」(村山さん)

 やみくもに施設を増やせばいいという自治体もあるが、こう指摘。

「例えば小規模保育所。対象は3歳児未満ですから、4歳になったら、また園探しをしなければならない。子どもの成長と保育の質を考えれば、やはり公立の認可保育所を増やしていくべきでしょう」(村山さん)

 そして、こう続ける。

「小規模保育はあくまで補助的な役割。優先順位をつけて進めるべきです。また同時に、保育士の賃金を増やすなどの待遇改善をもちろん忘れてはなりません」(村山さん)