ペンギンやアザラシなどの動物好きは朝の水族館を狙うのが鉄則と水族館プロデューサーの中村元さん。
「イルカやアザラシ、ペンギンなど、人と遊ぶのが大好きな動物は、閉館後から夜中にかけて退屈している時間が長いせいか、朝がいちばん愛想がいいんですよ。お客さんの中には、動物たちとのコミュニケーションを楽しむために通いつめる方もいます。チアガールが使うポンポンを持参していた人を見たこともありますよ(笑)」
そこで今回は、下関市立しものせき水族館『海響館』の生き物博士・和田政士さんに、動物たちとコミュニケーションがとれる秘密のテクニックを教わることに。和田さんによると、
「カギや白い小物を持っていると、海獣たちがエサと間違えて寄ってくることがあります」
とのこと。生き物は気まぐれなのでいつも同じ反応をしてくれるわけではないが、試す価値アリ。大らかな気持ちで楽しんでみて!
イルカ
ガラス面を両手でスリスリ
横浜・八景島シーパラダイス(シーパラ)には「ドルフィンファンタジー」というイルカをテーマにした水族館があり、そのメインがアーチ型のイルカ水槽。ここでは、ガラス面を上から下に指でこすり「キュッ」という音を出すと、イルカが寄ってきてくれるという裏ワザに挑戦。
特に、朝の開館直後で、人がまばらな時間がオススメ。イルカが寄ってきたら、ガラスに耳を当ててみるとイルカも「キュッ」と鳴き返してくれるのが聞こえることもある。もちろん、イルカ同士で追いかけ合いをしたり、プールの底に沈んでみたりと、思い思いに遊ぶ様子を見ているだけでも幸せな気分になってくる。
アザラシ
グーの手を上げ下げ
アザラシは本来、臆病な性格だが水族館生まれの個体や若い子は人間に対する警戒心が薄く、遊びが大好きという特徴がある。グーにした手を上げ下げさせたり、白っぽいハンカチやハンドタオルを振ったりしていると、興味を示して寄ってきてくれるかも。
ここでのポイントは目。こちらの存在に気づき、興味津々に目を見開いてじーっと見つめてくるようだったら「遊ぼうよ」のサインであることも。猫をじゃれさせるときに、予想外の動きでおもちゃをフリフリするようなつもりでやると、アザラシも遊びモード全開で近寄ってきてくれるかもしれない。
ペンギン
カギを小刻みにふりふり
ペンギンといっても水族館にはさまざまな種類がいて、性格もそれぞれ。一緒に遊ぶのが最高に楽しいのはジェンツーペンギンだ。頭にターバンのような白い線が入ったペンギンで、性格は好奇心旺盛。不規則な動きをするものやカギなどの光りものが大好きで、お客さんの携帯ストラップやキーホルダーを追いかける様子が目撃されている。
気を引くポイントは自分のそばをジェンツーペンギンが横切るときに、「こんなものあるよ!」と視界に入れること。そのときじっと見入ってきたら興味を示した証拠。
セイウチ
怪しいダンスで誘惑
セイウチは頭のいい生き物で、常に新しい遊びを求めている。シーパラでは、屋内の「アクアミュージアム」と、屋外の「ふれあいラグーン」でセイウチが見られる。アクアミュージアム(写真)では、水槽越しにど迫力のセイウチが見られる。
予想外の動きをする子どもに興味を示すので、大人も水槽の前で恥ずかしがらずに怪しい踊りをすると、セイウチもつられてノッてくるかも!?
スナメリ
ハンカチひらひら、お別れポーズ
スナメリは遊び好きな生き物。水族館開館直後に一番乗りでスナメリ水槽に行くのがおすすめだ。スナメリが横を通り過ぎるときに、白いハンカチをヒラヒラさせると、頭をかしげてこちらの顔をのぞき込んでくることがある。これは、たまらない可愛らしさだ。海響館ではバブルリング(口からリング状の泡を出す)などのパフォーマンスも見せてくれる。※写真は鳥羽水族館のスナメリです。
参考図書=『いちばん楽しい水族館の歩き方』(辰巳出版)
取材協力=横浜・八景島シーパラダイス