「平成5年にサービスを始めたときは、50代~60代向けの婚活パーティーは月に1回程度でした。人数もそれなりだったので、当時は50代と60代も合同で行っていましたね。しかし、ここ最近はあまりにも反響が大きく、現在では月に10回程度のパーティーを行っています。年齢での区分けも行い、多くの方にパーティーへご参加いただいております。中でも、60代の方が多い印象ですね」(立花さん、以下同)
今月からは、『シングル』『ペット大好き』『結婚前提』『死別』などと、年齢以外にも細かいカテゴライズをし、目的別に出会えるようにしている。
「パーティーだけでなく、お見合いのお手伝いもしておりますが、結婚相談所では2人に1人がご交際に至っていますね。シニアの方の婚活は3パターンあり、(1)すぐにでも入籍したい方、(2)交際を経て入籍したい方、(3)事実婚の関係を望む方がいらっしゃいますが、パーティーではそこまで深いお話を聞きにくいので、お見合いなさる方のほうがうまくいくことが多いのだと思います」
中高年の結婚は、若いときの結婚と比べて育児や出産を念頭に置く人が少ないぶん、結婚のための“条件”も若年層とは異なるようだ。
「現実的な問題ですが、年金をちゃんと受給できるかどうかというのは大きなポイントですね。また、子育てなどがないぶん、2人の関係性が濃厚になりますから“我慢したくない”という感情は強い気がします。いっしょにいて、ラクに過ごせる相手を探している方は多いです」
山本由美子さんが指摘する「若い時の結婚と違うこと」
実際に故・山本文郎アナウンサーが73歳のとき、43歳で熟年婚をした山本由美子さんに話を伺うと、立花さんが指摘したような結婚生活が見えてきた。
「仕事も二人三脚でやっていましたから、24時間ベッタリに近かったですね。どこへ行くにもいっしょだったんです。彼が同級生と食事に行くときでさえ、ついていってましたから(笑)。ずっといっしょにいられたのも、お互いに年をとって、時間的にも精神的にも余裕があったからだと思います」(由美子さん、以下同)
由美子さんは20代のころに1度結婚しているが、そのときは前夫もまだ若く、許せないことも多かったという。
「子どもも小さかったので、家事や育児で忙しかったこともあり、余裕がなかったんですね。お互いにイヤな部分だけつっつき合うような状態になることもあって。気がついてもらえないことがあると、“うちのダンナって言わなきゃわかんないんだから!”と怒っていた気がします」
手伝ってくれないと腹が立つし、手伝ってくれても腹が立った。初めての結婚生活で余裕がなく、どんなことも妥協できなかったからだ。
「“どうしてこんなたたみ方をするのかしら”“子どもを今お風呂に入れてほしいのに”とか、求めることも多かったですし、そういうふうに考える自分のこともイヤでした。山本との生活では、お互いに何をやってもらってもうれしかった。こう考えることができるようになったのも経験のおかげ。お互い“この時間に私はご飯を作ろう”とか“きっとこういう手伝いをしてほしいだろうな”などの空気を読む余裕があったんです」