誰が何のために移転を進めたのか
豊洲市場の移転計画は、総計5884億円もの事業費がかかっている。その内訳は用地取得費、土壌汚染対策費、建設費などだ。
これに対し、築地の再整備計画の費用は当初3400億円といわれ、その倍近くの金額が使われている。
豊洲移転に倍の費用がかかった要因は、談合や天下りだとの指摘もある。
豊洲市場の建設工事費の予定価格が高値修正され、その後に落札した建設ゼネコンを中心としたジョイントベンチャーの落札率は99・79%超。談合の目安とされる90%をはるかに超えている。
そのうえ、落札企業に都庁の幹部職員が何人も天下っている。
目の前の課題としても、都は土壌汚染対策に860億円を費やしながら、東京ガスに78億円しか支払い請求をしていない問題もある。
都が汚染対策費用の全額を請求しないのは、東京ガスに余計な「忖度(そんたく)」を行っているか、それとも、除染対策工事が粗雑に行われ、その費用を東京ガスに請求できないからではと考えられる。
この“都政の闇”は現在、住民訴訟(1級建築士の水谷和子さん原告)で追及がなされている。
豊洲移転問題をとおして都政の“負の遺産”の実態が明るみに出始めている。