家計を超ロジカルにすれば、お金が増える
先ほどご紹介した調理家電のお話をすると、どうしても「高いから買えない」「家族から反対されて……」という声が聞こえてきます。
確かに、スチームオーブンなどは、安いものでも4~5万円はします。
しかし、調理家電だけでなく、家事の負担軽減、時短につながる家電費用は、消費ではなく、「投資」と考えてください。
例えば、私は調理家電を駆使すれば、20分で3品の献立をつくることが可能です。一般に、夕食づくりには平均で51分かかるそうです(2010年:トレンダーズ&キューピー調べ)。つまり、約30分の時短につながるわけです。
時給1000円でパートをしている場合、この30分多く働くことで1日500円のプラス、ひと月20日間働いていたら、1万円のプラスです。4万円のオーブンなら、4か月で回収可能な計算です。しかも、もちろんオーブンはその後も働き続け、30分の時間を生み続けてくれます。
だから、便利な家電はかなり分のいい「投資」、働く母親にとっては、間接的にお金を生む道具となるのです。
「だったら1日500円、節約を考えたほうがいい」という人もいるかもしれません。
実はわたしは、経済の専門家として「節約」というものをおススメしたことがありません。なんでもかんでも切り詰めて節約する方法は、ストレスなので長続きしにくいと思うからです。さらに、生活の質を上げることにつながりにくいということもあります。
お金は「枠」をつくって、そのうえで好きに使うほうがうまく貯まります。
つまり、月の収入(手取り額)に対して、使ってもいい枠を決め、その枠内で自由に使うことをおすすめしています。
たとえば、家賃なら収入の20%、教育費なら20%、通信費は5%、食費は自炊派なら15%、外食派なら20%といった枠が、健全でしょう。
一番大事なのは、収入から最初に20%の貯蓄分を「無きもの」とすることです。
毎月残った分を貯蓄に回す、という方法ではとてもじゃないけどたまりません。初めから貯蓄分を抜き、無いものとして忘れてください。目の前にごちそうがあると、すべて食べたくなるのが、人間です。でも最初からなければ、食べられません。
「気が付かないうちに貯まってた」というのが、貯蓄のコツです。
思い込みから脱却して、家事を時短する。お金は、消費ではなく「投資」する、そして「枠」で考える。
まずは、だれでもできるこの二つのコツで、家事と家計のロジカル化を計ってみてください。
勝間 和代(かつま かずよ)◎経済評論家 1968年東京生まれ。中央大学ビジネススクール客員教授。早稲田大学ファイナンスMBA、慶應義塾大学商学部卒業。当時最年少の19歳で会計士補の資格を取得、大学在学中から監査法人に勤務。アーサー・アンダーセン、マッキンゼー、JPモルガンを経て独立。現在、株式会社監査と分析取締役、内閣府男女共同参画会議議員、国土交通省社会資本整備審議会委員。著者本に『2週間で人生を取り戻す!勝間式汚部屋脱出プログラム』(文藝春秋)『お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践』(光文社新書)『断る力』(文春新書)他多数。