目の健康、合ってる?間違ってる?~近視・コンタクト編
■近視は病気ではない
【No】強度近視は病気
「角膜から網膜までの長さを眼軸といいます。眼軸が長いと近視、短いと遠視になります。これらは目の形なので、顔の違いのような身体の一部の特性だといわれることがありますが、20代以降でも近視が進行するのは『強度近視』という病気です」
通常は20歳ぐらいまでに近視の進行は止まる。それ以降も続くようなら、強度近視を疑い検査をしたほうがよさそう。
「目の中に水を分泌している部分があります。そこから必要以上に水が分泌されて眼圧が高まり、眼軸(眼球の長さ)がどんどん長くなり、近視が進むのが強度近視。治療は眼圧を下げる緑内障の点眼薬を使い、眼軸が長くなるのを抑えて近視の進行を防ぎます。放っておくと網膜が薄くなり破けて網膜剥離の危険性が高まり、50代半ば過ぎくらいでは網膜黄斑部の障害が出やすくなります」
■目に優しいコンタクトならドライアイでもOK
【No】ドライアイはコンタクトに向いてない
「コンタクトレンズは涙に浮いているようなものですから、ドライアイの人はもともと向いていません。そもそも、目に優しいコンタクトなんてものはありません。酸素透過性70%と高くても、それは工場出荷時の数字。装着しているうちにタンパク質、脂、カルシウム、汚れが付着して酸素透過性がどんどん低くなります」
メガネと同様に身近に感じるコンタクトレンズだが、
「コンタクトは医師が扱う高度管理医療機器です。本来は熟練した医師が診療を行い、十分な検査を行ってから装着するべきなのです。コンタクトを使っている人は、自分が患者であるという意識を持ちましょう」
■コンタクトは保存液に入れておけば安心
【No】保存液に洗浄力はほとんどない
「コンタクトに付着したタンパク質は、保存液が除去して清潔にしてくれると思っていませんか? 保存液の成分は水とほとんど一緒です。もし本当にタンパク質を分解できて、細菌も殺せるほど強い液体ならば大変です。そんな液につけたコンタクトを装用したら目の細胞が死んでしまいます」
保存液がないからと、水道水で代用すれば、もっと大変なことに!!
「水道水には雑菌が含まれていますし、地方によってはアメーバ原虫もいます。私が診た患者さんで、水道水を保存液がわりに使ってアメーバ原虫により角膜炎にかかり、目がほとんど見えなくなって、早急に角膜移植をしたことがありました」
■眼球体操では目はよくならない
【Yes】よくなるどころか網膜剥離の危険
「左右上下に激しく目を動かす眼球体操は、とんでもない行為です。目の健康増進や老化防止にはまったく役に立たないどころか、網膜剥離の原因になります。目を激しく動かすと目の中の硝子体が激しく揺れ、その線維に付着した網膜が引っ張られて裂ける危険性がある。中年以降は硝子体が収縮して、硝子体線維が揺れやすくなっています」
眼球体操をまじめにやって網膜剥離になった患者を、深作先生は何人も診てきたという。
「目の健康が書かれた情報が本物であるかどうか見分けるには、著書プロフィールに“眼科専門医”は最低条件です。しかし、近年はこの眼科専門医が書いた本として“写真を見て目がよくなる”とか“穴あきメガネで目がよくなる”など、科学的根拠に乏しい本が出ています。もちろん眼科以外の分野だったり怪しげな経歴であれば疑ってかかったほうが身のためです」