妥協を許さない厳しい演技指導で定評のある廣木隆一の監督作『彼女の人生は間違いじゃない』。そんな廣木組に初参戦した主演の瀧内公美(27)と、映画『M』『軽蔑』など常連キャストの高良健吾(29)に、撮影秘話から意外な素顔までたっぷり語ってもらいました!
高良 今日、久しぶりにお会いしたら、笑顔が増えていてよかったです。僕は、瀧内さんがすごく闇が深い人だと思っていたから(笑)。
瀧内 (笑)。撮影中は大変すぎて高良さんと“コーヒー買いに行きたいね”ってお話したことしか記憶がなくて。あとは“どうしよう!”みたいな不安や戸惑いを私が一方的に話してばかり(笑)。それを受け止めていただいて、本当に助かりました。
高良 僕も最初、廣木組に参加したときは戦ってボロボロになったので、気持ちがわかるんです。でも、こういう現場を経験できるのは大切だし、幸せなことだなって。
──主人公は週末になるたびに高速バスに揺られて、地元から東京へ。2人はいつ上京しました?
高良 16歳から熊本と東京を行き来して、この仕事をしていました。熊本が大好きで、ずっと地元から通いたかったんです。でも、忙しくなって無理になり18歳で出てきました。
瀧内 私は18歳のときに教員免許を取るため大学進学をきっかけに。
高良 地元はどこなの?
瀧内 富山です。教員免許は取れたんです。でも、母の影響から映画が好きで、この世界にも興味があって。中に入ったら、母にも見てもらえる気がしたんです。大学4年になって映画館に行ったら、強いメッセージ性を発信できることに魅力を感じたし、やってみようって決意しました。
──東京に来て、最初に驚いたことは?
瀧内 電車の本数がすごく多い。
高良 それわかる!
瀧内 本数が多いから、満員で乗れなくて1本見逃したんですよ。だけど、次が来たらまた乗れなかったのが衝撃で。“いつ人が減るの”と思いながら30分その状態でした(笑)。
高良 あと、雑誌やテレビでよく登場する場所に最初は行くよね。渋谷のスクランブル交差点や竹下通りとか。
瀧内 行きました(笑)。あれだけ人が集まる場所って田舎にはないから驚きましたよ。
高良 “テレビでは見るけど、本当に実在するの?”と思って確認しに行ったり(笑)。田舎から出てきて、僕たちと同じことやった人は多いんじゃないかなと思います。
■やっぱり故郷は最高!
瀧内 東京は隣に誰が住んでいるかわからないし、干渉されないのが最初は居心地よかったんです。でも、年を重ねて里帰りをすると、顔を見れば話しかけてくださったり、そういう輪の中に入れていただけることの幸せに気づいて。あと水がやわらかくて、実家に帰ると肌感が変わるんです。私にとって全部を取り戻す場所です。
高良 熊本と九州が大好きだし、時間があれば帰ります。阿蘇は必ず行きますね。祖父と祖母が住んでいるんです。実家のある熊本市内からは車で1時間くらいで着くので、温泉に入ったり、美味しい食事を食べて。僕にとってはパワースポット。阿蘇に行くと小さいころから、力をもらいますね。
<あらすじ>
『彼女の人生は間違いじゃない』(7月15日全国ロードショー)
週末になると地元・福島と東京を行き来する主人公を軸に、帰る場所もなく、進む未来も見えない人々が、もがき苦しみながらも光を探し求める姿を描き出す。瀧内は原発事故のため仮設住宅で父親と2人で暮らし、平日は市役所、週末は東京のデリヘルで働く主人公のみゆき役。高良はデリヘルの従業員・三浦役を演じる。