各地のご当地グルメ「コレがオススメ!」
■向笠千恵子さんオススメ!
「福島県の会津若松に伝わるにしんの山椒漬けは、ぜひ1度食べていただきたい郷土料理。ご飯のおかずにもお酒の肴にもピッタリ。会津本郷町では、にしんを漬けるための専用のにしん鉢が、伝統の技術である会津本郷焼で作られ、ひと昔前までは、その鉢が会津の家庭には一般的にあったほどです。山に囲まれているため北海道で乾物に加工された身欠きにしんが貴重なタンパク源でした。鮮魚が流通してなかった時代、日持ちする身欠きにしんをしょうゆ味の酢漬けにして保存食に加工したのです。田植えの後の疲れた身体の栄養食としての役割もあったのでしょう。現在でも毎年、山椒が芽吹く春から夏にかけて各家庭で漬け込まれ、常備食として受け継がれています」
■白央篤司さんオススメ!
「今も各家庭で愛され、作られているという意味で新潟県ののっぺはオススメです。地域によってディテールがかなり違うのです。基本はサトイモが必須の汁もの。ただ、だしは煮干しだったり干し貝柱だったり、具材も鮭がマストの地域もあればそうでないところもある。“大鍋でたっぷり作る”“冷まして食べる”という点はだいたいの共通項ですが、家庭ごとに“うちのスタイル”があるのが、いかにも郷土料理だなと感じます。代々のお母さんの工夫と、好みの積み重ね。新潟人の数だけのっぺがあると私は思います。
ポルトガル語で“小さく刻む”を意味するピッカード(Picado)が語源の長崎県のヒカドも、地方や家庭ごとに違う料理。長崎を訪れたポルトガル人やスペイン人が伝えたものとされ、魚と肉と野菜を細かく切って一緒に煮たものです。私が食べたのは豚とブリという組み合わせ。魚と肉を一緒に煮るというと抵抗があるという人もいると思いますが、これが意外なうまさです」
■松本学さんオススメ!
「焼きそばに和風だしをかけて揚げ玉をトッピングする青森県黒石市の黒石つゆ焼きそばは、完全にミスマッチなのにクセになる味! 何といってもおもしろいのがそのルーツ。昭和30年代に実在したお店で、学校帰りのお腹をすかした中高生に、冷めた焼きそばに温かいそばつゆをかけたのが発祥だといいます」