「オフホワイトです」
『週刊文春』の不倫疑惑についての直撃取材に迷言で応じた「雨上がり決死隊」宮迫博之。この言葉は間違いなく今年の『流行語大賞』にノミネートされるだろう。
記者の期待に十分応えた宮迫だが、文春記者のみならず実はマスコミが一番彼に望むことは、白か黒か明言することより、不謹慎と思われるかもしれないが気の利いた“言い訳”なのだ。
特にお笑い芸人に対してはその期待度が高く、釈明の内容によって芸人としてのスキルが評価され、今後の活躍まで左右される場合もある。そこに求められるのは“潔さ”と“笑い”がポイントで、失敗したために騒動後に浮上できないままの芸人も少なくない。
“行為”自体を否定する釈明はダサい?
釈明で一番多いのは、疑惑自体を否定する「二人きりじゃありませんでした」。
これは、部屋の中に自分たち以外の友人やマネージャー、スタッフが一緒だったと主張しているのだろう。
「だから一線を越えることなんてできないでしょ」と言いたい気持ちはわかるけど……。これが一番つまらない。
次が“行為”そのものを否定する「やましいことは何もしていない」。
じゃあ何をしていたのか?
芸人じゃないけれど、こちらも不倫疑惑が報じられた今井絵理子・橋本健両議員はこう答えた。
「講演の原稿を書いていた」
ほかにもビデオ鑑賞やゲーム、仕事の打ち合わせなど様々だが、いまだ記者をうならせるほどのものは出てきていない。
つまらない釈明をした芸人さんは誰?
今年1月に『FRIDAY』で不倫疑惑を報じられた「8.6秒バズーカー」のはまやねんは後日スポーツ紙の直撃取材を受け、
「誤解です。(女性は)友達です。(ラブ)ホテルには行ったんですけど、何もせず……。終電がなくなったので、カラオケとかでもよかったんですけど、たまたまホテルだった」
と苦しい言い訳をしたが、これもつまらない。これでは話が広がらない。
芸人として一番おいしい、テレビで“いじられ”笑いを取る要素が見当たらないからだ。
昨年3月、浮気相手とホテルでの密会を撮られた、とにかく明るい安村は記者の直撃に驚いて、ただただうろたえるばかり。その様子は動画で配信されたのだったが、うなだれて歩く姿は哀れというしかなかった。そのとき記者は、
「安心してください。脱ぎました!」
くらいの返しを待っていたと思うのだが。彼らは低迷期から抜け出すせっかくのチャンスをみすみす逃してしまったのだ。もったいない。
その点、大物は違う。不祥事というほどの不祥事ではないが、明石家さんまはかつて『笑っていいとも!』で遅刻したとき、
「“途中でマンホールから地底人が出てきたので”と言ったため、司会のタモリさんは笑うしかなかったようです」(スポーツ紙記者)
ビートたけしはやはり番組に遅刻したとき、
「家の中にお化けが出て」
と言い訳したそうだ。開いた口がふさがらないが、これでは笑って許すしかないだろう。
先日、宮迫はレギュラー出演する番組『バイキング』で、
「下心はありましたが、“一線は越えていない”」
と改めて釈明を繰り返した。“言い訳”はなんとか及第点を付けられたようで、騒動は沈静化したように思われたが、ただ世間はそんなに甘くはなかったようだ。
8月15日、出演していた保険会社『アフラック』のCM動画が公式サイトから削除されたのだった。どんなに釈明が成功しても、騒動の“つけ”は必ず回ってくるということなのか。
<フリージャーナリスト/佐々木博之>